空回りかぐうぃーる
「……良紀!」
「んー?」
「その!、何と言うか、…あの、」
「はは、幸村は相変わらずよく解んないね」
「……っ」
「じゃあ私こっちだから」
「……あっ、その、またっ…また明日!」
「うん、また学校でねー」
「旦那、帰って来てからニヤニヤと……、何かあったの?」
思い返すのは数分前の出来事だ。
「やったぞ、佐助!『またね』だ!」
「あー愛しの良紀ちゃん?」
「いや、断じて愛おしいなど……ッ、は、破廉恥な気持ちでは……!」
「ハイハイ、で、結局コクったの?」
「そ…それは……」
気がつけばいつでも目で良紀を追っている、と佐助に指摘されて以来(断じて自分で気付いたのではない)、頭の中でだけなら何度彼女に伝えたことだろう。
直接言えないのであれば言葉を書き連ねてみようかと机と向き合えど、手は動く気を微塵も見せない。
勇気をかき集めて決意を固めたつもりでいざ、彼女の前に立ったとしても、結局、一挙一動にさえも飛び出そうとする自身の心を押さえ付けてやる事でいっぱいいっぱいになっているのだ。
「あーもう!他のやつに取られちゃっても知らないからね!」
「そんな……!」
「それが嫌なら旦那が動くしかないでしょ」
「その通りだが…、っしかし……」
「じゃあほら、バレンタインを利用するのとかは?」
「バレンタインとは女性が想いを寄せる異性にチョコを渡す日ではないか……っ」
「海外では別に関係なく花とか贈る日だっていうから気にすることじゃないよ。」
「そうなのか?」
「うん。それに、花が恥ずかしいならオルゴールとかでもいいじゃない。オルゴールなら嵩張らないから鞄にも入れられるし、包んでおけばぱっと見じゃ何かわかんないでしょ」
そして来たる決戦の日――
「…良紀っ、もし、俺が『好きだ』と言ったなら、こ、これを受け取ってくれるか……っ?」
彼女を前に、勇気―普段は跳ね回る心を抑えるのに使用する―を総動員させて、やっとのことで搾り出した声はどこと無く揺れている。
縦横無尽に跳ね回る心が何度もぶつかった顔は恐らく赤い。
情けないが、仕方が無い。
敗れはすれど、逃げなかったのだ。いつも逃げていた自分が。
いっこうに聞こえない彼女の声に、そう考えて自身に言い聞かせる。
「?、いいよ。うん、私も幸村好きだし。」
しかし、ようやくその口が紡いだ言葉は、幸村の決心とは全く正反対な言葉の羅列だった。
「!?、……本当、に?」
我ながら信じることが出来ないが、事実らしく。目の前の良紀は「なに唖然して
るのさ」といつもの笑みを浮かべている。
「じゃなきゃこーゆーのも作ってこないって。ハイ、遅れたけど……幸村に!」
夢にも見れないでいたそれは、俺の手にふわりと収まっていて。
重くないはずなのに囚われたかのように軽くない左手は、嬉しさと驚きで溢れ返る俺自身を表しているのかもしれない。
ああ、本当に、君が好きだ。
「でさ、佐助とか政宗って何処にいるかわかるかな?」
「おそらく、屋上へ逃げ込んでるんじゃあ…」
「じゃ、あの二人は煩いけど後でいっか」
空回りかぐうぃーる
どうやら、まだ、きちんと噛み合ってはいないようで。
カラカラと時折聞こえるその音こそが、僕らの距離を知らせてくれる。
≪curtainfall...≫
あはははは…!
ははは
はは…
……orz
イベントに間に合わせることが出来ないヘタレ運営者です。
クリスマスネタとかも実はまだ手元に残ってたりするんだよね…←駄目じゃん
そういや、
なにげに、
現代で幸村書くの初めてかもしれない…
記憶にないけど。
'08/03/15
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