エル:刻み付けて、決して消えないように
「ワタリが………?」
「………ええ、キラに。」
「そう…」
考えたことがなかった訳ではなかった。
Lを崩すには、ワタリから崩せば楽に事が進むことは明瞭なのだから、私がキラなら彼を先に舞台から引きずり落とすことを考えていた。
「………すいません」
「……何が?」
「私が守れなかった……守らなくてはいけなかった………」
「それはエルが逝ったときにワタリに言わなきゃ。私に言う意味ないでしょ」
「私は貴女の……良紀にとっての光のようなものだったワタリを一方的に取っていったうえ亡くしてしまいました…」
「私よりもエルのほうがワタリを必要としていたんだだけのことでしょ?ワタリはエルをサポートすることを望んだの。私にもそれを望んでたんだと思う。ワタリが考えていたこと全てがわかるなんてことは絶対無いけれど、それだけは私にも解るよ。」
「良紀…………」
「ワタリがどう思ってたかはわからないけど、エルと一緒にいたことに後悔はしてないよ、きっと。じゃなきゃ……、そうじゃなきゃあまりに虚し過ぎるよ……」
怠さに体を任せればエルの体温を見つけた。
「ごめん…なさ、い。」
痩せた肩の骨が眉間に刺さり、少し痛いが今更起き上がる気力も無い。
Lと同じように膝を抱えた窮屈かつ不安定な座り方でさえも、今日は何故か酷く落ち着く。
「ねぇ、エル。キラを捕まえたら一緒にお墓参りに行こう?」
「………………はい…、……必ず…」
017:刻み付けて、決して消えないように
全てを見届けると決めたはずの決意を"恐怖"は簡単に揺らがせるから。
エルブームがキてたとき書いてました。←
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