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レイブン:あなたに優しいうたを捧げましょう

「あっれー?オズ居ないの?」

いつものように分厚く居座るドアを、いつものように押し開けたら、いつものようにいるはずの友はいなかった。

「オズならさっき馬鹿うさぎに引っ張られて市場に行ったぞ」

やたらと人口密度の小さい部屋には「いつも」の保護者だけだった

「あらー、じゃあどうしよ」

「時間があるのなら、ここで待ってても構わないが……いつ」
「じゃあそうさせてもらおうかな」

「(人の話は最後まで聞け)…あぁ、好きに座れ」


了承のことばを合図に、ポケットから半端な位置に栞が挟まれた本を取り出して目の前の椅子に腰掛けた。

溜息が混ざっていたような気がしないでもないが気にもしない。(いつものことだ)
紙のめくられる音が2つと紙にインクが刻まれていくだけの音が響く。

これもまた最近…、つまり、それまで続いてた「いつも」が、新しい「いつも」に替わってから加わったことだ。

同時に、それは何かが確実に動き出したことを示すのだ。
全てを束ね、全てを支配し、全てを見放す、圧倒的なチカラを持った何かが。

始まりとも続きとも言えないナニカが。


途中から白紙になっている台本を左手に、マリオネット達の糸を右手に巻き付け、舞台はこの世界
糸を引きちぎり、逆に操ろうとするなんてこと、なんて無謀なんだろうと気付いたところで戻れやしない

全員がステージの上に残れるとは正直思えない



それでも皆で残りたいと思うのは傲慢だろうか

このまま「いつも」を続けていきたいと思うのは傲慢だろうか




「ねぇ、レイブン…?」

「………なんだ?」
「たまには誰かに頼ったっていいんだからね、……周囲を見渡す余裕も大切だよ」
「どうしたんだ、いきなり。」
「ん〜、私達はレイブンが嫌いじゃないよって話」


少なくとも、窓の奥でつもり始めた雪の存在に気付けるようになるまではここで待とう


心の中でのみひそかに決めて、また1枚――ちょうど主人公が町を捨てたところだった――縦書きの文字の連なったページをめくった。


この物語の主人公は赦されていることに気付けなかったが、レイブンやオズは気付けることを期待したい






010:あなたに優しいうたを捧げましょう

お題提供:追憶の苑様【切情100題】





『誰ひとり欠けたって意味が無いんだから自分の身を犠牲にするようなことだけは絶対にしないで』



本当に言おうとした言葉はまだ私の中にしまっておくとする







(新しく増えた物=チェイン関連の事件&オズの為に情報収集すること(=レイブンが自分を顧みなくなるとき))





じつは、009のヤツと微妙にリンクしてたり。(その後の話もあったり。



どんどんジャンル開拓していく私。
ジャンル?ナニソレ^^

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あきゅろす。
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