ブレイク:はらりはらり、ほら、また一枚
安っぽい明かりが町のあちこちでちらつくこの季節を、どうにか今年も迎えることが出来た。
しかし同時に例の忌ま忌ましき時期でもあるのだ。
「ここからここマデお願いしマス」
ブレイクとは対象的な店員さんの引き攣った笑顔が何故か他人事のようには思えなかった…
「ねぇ、ブレイク」
「……?何ですカ?」
「これ…全部食べるの?」
結局、先程大量に購入したパティシエさんの作品達は、一つの箱には入り切らず、二つの箱に分けられた(ケーキ屋さんも、まさかこんなに大量に購入する奇人がいるとは思わなかったことだろう)。
今では小さい箱が私、一回り…いや、二回りは大きな箱がブレイクの、それぞれの手にぶら下がっている。
「当たり前じゃないですか、貴女だって食べもしないものをワザワザ買ったりしないでショウ?」
「そりゃそうだけど、…この量はいつにもまして尋常じゃないよ」
「どれもおいしそうだったのでツイ」
嬉しそうに語るこの光景をパティシエが見たらきっと喜ぶだろう――そう考えたら、案外悪いことでも無いなと思わされた。
「それに今日はクリスマスですし」
私の考えが肯定に傾き始めたのを悟ったからか―満足気に―元から浮かべていた笑みをさらに深くして言う。
「…あれ?今日だっけか?」
「ハイ。もっとも正解には今日はイブですケドね」
「う゛……、まだ先だと思ってたからプレゼントもなにも用意してないよー…」
「あらぁー?それなら戻りましょうか?」
「面倒なことにしてゴメンね、」
「そう言うのならアリガトウにしてください」
「……っ、、ありがとう」
「ドウイタシマシテ」
まさかブレイクがそんなこと言うとは思わなくて驚いたけど、その笑顔につられて私も笑った。
009:はらりはらり、ほら、また一枚
今舞い降りてる雪の花びらは、一枚一枚が人を幸せにしているんだ
お題提供:追憶の苑様【切情100題】
(裏テーマはホワイトクリスマス)
書いてた当時はクリスマスシーズンだったんだよ…!(言い訳。
お題関連で、もう一つあるから。クリスマスネタ。
はい、駄目人間です。
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