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鮮やかに色付く<007>(子供時代)


「‥ち・ゃ…ぼんちゃ…………梵ちゃん」
「…ん‥ぅ……?」

微かに聞こえた声に目を覚まし身を起こす
遠慮しがちに障子の隙間から覗く世界はまだ薄暗く鳥の鳴き声一つしていない


「おはよー」
寝ぼけた瞳に映ったのはアイツだった

突拍子も無く現れるコイツについてわかることは一つだけで、『人間ではない』という何とも妙なことだけなのだ


「……It has not dawned yet at night.≪まだ夜も明けて無いのに≫」

「明けて無いから"こそ"だよClothes is changed early.≪早く着替えて≫」




もしかしたらアヤカシの類なのかもしれない
なんせこの間なんて隣にいたのに母上が何も言わなかった
どうやら見えて無いらしい
でも成実には見えてて―――「今の話聞いてなかったね…」

呆れたように言って俺の手首を掴んで前を早足で進んでいく


どうやら、待たされるのはあまり好きじゃ無いらしい。




「おい、引っ張るなってッ」

制止の声に返って来たのは『聞いてない梵ちゃんが悪いよ』の一言だけで続きはいつまでも聞こえてこないから、ただあいつの背中を追うしかなかった














―――どのくらい来たんだろう



かなりの距離を来た気がするが、薄明るくなってはきたものの未だ日が射してこない。

つまり、思うほどそんなに時間は経っていないのだ。


「なぁ、どこまで行くんだ?」

がさがさと葉が揺れる音が、ちらりとしか見えない背中までの案内をしてくれる

「いいから急いで、もうすぐだからッ」



最後の茂みを掻き分け飛び出した場所は見知らぬこ高い丘



勢いはそのままに残りの斜面を駆け登った。








「………ぅ、わ」


目の前に広がる眩しい光
細かな粒子にキラキラと反射して、より一層際立っている


「Happy birthday……MASAMUNE」
「え?」


自分の名前ではないその名は、尊敬すべき、代々続く伊達家の基礎を創ったとも言える九代様
――九代目伊達家当主、伊達政宗の名前。


「これまでも、これからも。
いつまでかはわからないけど、私の存在がこの世界に在るまで、私は梵ちゃんのことを信じる。
だから……ううん、違う、………もし、私のことを信じるなら、自分自身を信じて認めて。
そうすれば私は、全てを持って梵ちゃんの何とでも在ることができる」


――剣としてでも盾としてでも




「いったい、どこの誰が信じてもない相手にホイホイと着いてくんだよ
それにあんたが俺を信じるってなら、俺がそれを信じない理由なんて無い……そうだろ?」



気がついたときには自ら入った鍵の無い檻から見ていた傍観者ではなくなっていた




「まぁたしかに」

「なら返事は簡単だ、あんたの思うままにいてくれ。」


手を伸ばしてその戸を押し開けていた




「もちろん」











―信じれた



―信じてくれた







ただそれだけなのにイマが変わった







007:鮮やかに色付く











お題提供:追憶の苑様【切情100題】






うーん。
プラトニック?


元服前のつもり・・・!
まだ政宗という名前になると梵天丸は知らないわけです・・・(わかりにくいわ!

ヒロインちゃんは具体的にどんな存在か考えてないで書いてたんですけど、まぁ、ただの人ではないんじゃないのだと思われます
だって元服前に政宗って名前になるって知ってるんだもんね!←

*←→#

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あきゅろす。
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