グラハム:DOZENKUR
ドアを潜ればそこは、
それはそれはメルヘンな、「お花畑」でした。
『何これ』
『残念ながら電話越しでは愛らしい君の顔も、君の美しい指が示す先も見えないのだが?』
『グラハムでしょ?、この花送って来たの…』
『お気に召していただけたかな?』
『なんでまた…』
『愛を唄うのに理由なんて不要だと思うが、』
「…そうは思わないか?」
「!??」
「感じるものに理由などつけられっこないさ」
「いつの間にっ?」
今私の中にあるのは、デジタルな音が、滑らかなアナログへと突然変化したことへの驚きだ。
そして、気配に気付くことが出来なかったことへの敗北感。
会えて嬉しくなったのかと聞かれれば、全くそうという訳でもなく、ただ純粋に、驚きが嬉しさよりも勝っていただけのことだった。
「ああ、君の声を聞いたらどうしても逢いたくなった。…というのが3割だ」
「今忙しいんでしょう?」
「ちなみに他の7割は、最初から君とこうした時間を過ごすために此処へ向かってたという理由だったわけだ」
「新しいガンダムが現れたとか…」
この男は、『キャッチボールとは何か』と問えば、『相手にボールを投げればいいんだろう』と平然と答えるような男だ。
相手のボールを取ってから投げる。相手にとって取りやすいボールを投げる。そういった概念は微塵も存在していないのかもしれない。いや、絶対にそうに違いない。
「そういえば、鍵が閉まっていなかったね。不用心だ。気をつけたほうがいい」
「グラハム!!…………解ってるから、はぐらかさないで。」
しかし、今は彼の確信犯的対応に付き合っている暇はないと6つ目の感が叫んだ。
「……、すまない。」
初めて声を荒らげる。
流石の中尉殿も観念したのか、先程までの不愉快な態度を取り下げ眼差しを深くした。
「長期の作戦なんでしょう?」
「ああ、その通りだ。一つの場所に留まるどころか、何時までかかるかすらわからない。連絡も同じく、だ。」
思った通り。期待し、予想し、用意した通りの返答だった。
「いいよ。けど、……3年。」
「何だ?」
「3年間だけ待ってる。3年が過ぎたら私は、此処からいなくなるから。」
「真意を計りかねるが」
「貴方の匂いの無いところで、私が知る貴方の全てを、忘れるの。」
まさに、……これは砂時計の如きモノだ。
「はは、相変わらず手厳しい」
良くも悪くも私を護るためだけの。
「私だけ貴方を覚えてなくちゃいけないなんてフェアじゃない……そうでしょ?」
3年経てば貴方が持っていく私の心は期限切れ。
すっきりさっぱり貴方とお別れ。
――そうして、新しいパーツを捜すでしょう。
「それもそうか……。まぁ私が3年もかけずに任務を終えれば良いだけの話しだ」
3年経てば私が持つ貴方の心はどうなるの?
「1095日ピッタリだからね。今日を抜いて、1094日だけど」
見てみたい、けれど見たくない。
期待はしない。祈りもしない。
だって貴方はいつでも勝手に押しかけてくるじゃない。
例外なんて、今更。
DoZeNkuR
「閏年を忘れているな」
「そこまで考えると面倒だから別にいいでしょ」
≪curtainfall...≫
ハイ、タイトルは完全なる造語です
意味は……、っ聞いちゃいけないよ!
Boohちゃんとの話題からこんなん派生しました。ごめんなさい。
やっぱ会話から始めると流れがワカメになりました。
煮るなり蒸すなり好きにして……
生だけは(も?)お勧めしないかなぁ
ってかグラハムを1、2度見ただけなのに書いたことに激しく後悔
Boohちゃんへ
秋影
2008/02/24
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