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引いてゆく波に想いを馳せ <058>(少佐)


「良紀…ちゃん……?」

先を歩く姿を見つけ、いつものように抱き着いたら、いつもと違う彼女に戸惑った。


「どうしたの?」

「な………でも…な……いッ」

「『なんでもない』ってこと無いでしょ」

「だっ……て…、」


良紀が泣くとしたらアヤナミ関連のこと以外は正直思い付かない。
アヤたんもあれでいて不器用だからね
きっと、また言葉が足りなかったんでしょ?


「ほら、これ食べな?」

「……いい」

「うん、でも仕舞うの大変だから貰うだけ貰って?」


声も出さずに泣いたりなんかしないで
感情の洪水を無理に止めたりなんかしないで


「あ…りが、と………」





泣き方も笑い方も全て一緒に教えてあげる


だからどうか、

「見失ったのなら、居場所なんていくらでもあげるから」

この役だけは奪わないで

「わからなくなったのなら、存在理由なんかも俺が全部あげるから」

ナイトもプリンスも要らない。




「アヤたんから離れていかないで」





――ただ、泣いてる君を慰める役だけは俺一人にください。




058:引いてゆく波に想いを馳せ






「良紀っ、」

「う、あ…っ、あや…な……み…」

「……何処へ行っていた」

「いや…そ…の……」

「……」

「あの…」

「……悪かった。」

「…え?」

「だが、戦闘時における無謀な行動をするなという先程の言葉を下げるつもりはない。」

「……ごめんなさい。けど、アヤナミをあいつらは狙ってくる、から。」

「私はそんなに頼りないか?」

「…ううん。そんなことない…っ」

「ならば、一人で全てをしようとするな」



ねぇ、良紀ちゃん。
君は知らないかもしれないけどね、アヤたんがこんなに感情を出すのは君のことについてだけなんだよ。

だから、ね。


いなくなったりなんて。






御題提供:追憶の苑様【切情100題】




[07-GHOST:アヤナミ参謀長官*切→甘*vsヒュウガ(アヤナミおち)]



実はヒュウガ目線はお気に入りなのです
ヒュウガは思い故の片思いが似合う気がする。






リクして下さったお嬢様、これまでこのサイトに足を運んでくださったあなたに捧げます。




20090222



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あきゅろす。
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