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そうか

あーあついあついあつい。


なんでこんなあっついなか英語という名の暗号と向き合わなきゃならないのかな。



「それはなまえが英語の点数最悪やったからやろ?」



「そうなんですけどねー。すべては私のせいですけどねー。赤点とったせいで補修行きなんですけどね。でもさ!クーラーが壊れてるのは私のせいじゃないよね!?」


真夏の教室の中、私は白石と机一つ挟んでお勉強中だった。



...あ、白石は赤点とってないよ?



逆に一番点数よかったから一番点数悪かった私に教えてやってくれと渡邉先生に言われてた。


...その時渡邉先生は珍しく小声で"彼氏と彼女、二人で仲良く勉強するんやで?"って言ってくれた。



そ。私と白石は皆に秘密で付き合ってる。



...なぜか渡邉先生は知ってたけど...



「ごめんね白石。白石だって受験なのにね。」



「ええよ別に。それよかはよ終わらせてまお!こんなあっついなか耐えられへんわ。」



「だよねー...」



謝ったけど、内心嬉しかった。



だって部活が大変でデートだって滅多にできなくて、一緒に居る事もあんまりなかった彼氏と、勉強とはいえ一緒にいておしゃべりできるんだから。



こうやって軽くおしゃべりをしながらプリントの問題を解いていく。


...まあ、殆ど白石にヒント出してもらってるけど、さ。



でもだんだん分かってきて、しばらくひとりで黙々と問題解いてたら、ふと白石が口を開いた。



「にしても、なんでクーラー壊れとるんやろ。」


いつもの手を顎に持っていくポーズで悩むしぐさをしている白石にちょっとドキっとしたりしたのは秘密。



「あれ、白石知らない?なんでも隣のクラスの男子がほうきと紙丸めたやつで教室野球してて、そん時思いっきり振ったほうきがクーラーにクリーンヒットしたらしいよ」



「またベッタベタなことやったもんやなあ」



「だよね。でもやるならせめて自分の教室でやって欲しかったかな。」



「あ、それ同感や」



でも、それが大阪やんなあ。ってククっと綺麗に白石は笑う。



いやいやそりゃ違うでしょって突っ込み入れると



「お、なまえも突っ込み上手くなってきたんとちゃう?」



そういってまた笑った。



そんな楽しい空気の中でも気温は下がらないわけであって。



「っもう無理いいい...こんな暑い中じゃ集中できない...」



べたーって机に突っ伏すと白石はせやな、っていって私の頭にぽんって手を置いた。



「ほな、今日のところは学校の補習は終わりにしよか!」



「、おおお!!!流石白石様!!!」



そういってがばっと起き上がると白石はにこりと微笑んだ




「先に玄関いっててや。俺は鍵職員室に返しにいって先生に報告してくるわ。」



「ん、あんがと」



荷物をまとめてたたっと駆け出す。



階段を一段抜かしで降りて生ぬるい風を感じて。



「お、なまえはやいやん」



「あれ、白石もうついてたの?」



「近道や近道」



学校内に近道なんてないだろとか思ったけど白石なら知ってるんだろうか、とか思いながらふーんと適当に返事して靴をはいた。


その瞬間、ぐっと手を握られて引っ張られて。



「うわっ白石!?」



「ほな、"学校の"補習も終わったことやし、"俺との"補習でもしよか?」



「え、もしかしてまだ英語勉強するの!?」



「ちゃうちゃう。もっとええことや。」



「"ええこと"?」



「せやで」



にやりと不敵に笑った白石に何故か背中に冷たい汗が流れて。



「あ、あーちょっとえんりょしとこうかなーあはは」



「ふーん、なまえがええんなら英語でもええねんで?」



「よろこんで白石の補習うけさせていただきます!!」



「そ。ええこやななまえ」



また私の頭にぽんっと手をのせた。



「子供扱いしないでよ」



「なまえはまだ子供やろ?」



「白石と同学年だからね!?」



こうやって他愛のない会話をしてる間もしっかりと手は握られていて。





あ、

(どないしたんなまえ)(いや、なんでもないよ)



ただ、



こういうのが幸せって言うのかなって思って。



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前サイトより。
白石って書きにくい。難しい、かっこよすぎで。
表現できん


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あきゅろす。
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