わかっているのに
ざわつく放課後の教室で。
「謙也謙也謙也あー!!!」
「おう、どないしたなまえ!」
すごい勢いで俺のもとへ走ってくるなまえ。
顔真っ赤にして、嬉しそうにへにゃっと笑って。
そんな顔にどきりと高鳴る俺の心臓。
そんな時、やっぱり俺はなまえのことが好きなんやなって実感する
せやけど。
「あのねっそのねっ...千歳君に放課後デート誘われちゃった!!」
なまえが好きなんは千歳。
なまえが付き合うとるんも、千歳。
背え高くて、殆ど学校来いへんくせに頭は良くて、おまけにイケメン転校生っちゅうやっちゃ。
そら、俺が敵う訳ないわな。
「よかったやん。どこ行くん?」
なるだけ平静装って、なまえに問いかける。
話さなきゃええのに、それでも口が動くんは、きっとなまえと少しでも一緒におりたいから。
せやのに。
「うーんと、どこって決まってるわけじゃないけど...公園をぶらぶらしたりとか、かな?」
「へー。まあ、楽しんでき?」
「らじゃ!」
びしっと敬礼して、たたーっと走ってってまうなまえ。
「じゃあまた明日ね!」
ふわり、と甘い香りを残して教室を出て行った。
「あ、」
なんでやろな。
届かないと分かっているのに
(俺の意思とは関係なく、出て行ったなまえの方へ伸ばされていた自分の手に)(嫌気がさした)
---------------------------------------------
前サイトより。初悲恋だった。
こういう気分だったんです。
あ、別に私が失恋したとかそういう意味じゃないです。
次
[戻る]
無料HPエムペ!