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へんたいざや
「いざや、いたい」

「うん」

「いざや、くるしい」

「うん」

「いざや、じゃま」

「うん」

「…いざや、聞いてる?」

「うん」

「……いざや」

「うん」

「…まだなにもいってないけど」

「うん」


理由はわからないしらない。どうしてこうなったかなんて、私がわかるわけがない。いざやは私の同窓生で、つまり友達で、それ以外のなにものでもなかったはずだ。あ、いやそれは私から見たらって話かもしれない。いざやにとったら私は友達なんてたいそうな存在じゃなくてただの観察対象だったのかも。まあ今となってはそんなことどうでもいい。それよりも約三年くらい連絡を取ることもしなかった私の家に急に訪ねてきて、不審がる私をよそに当たり前のようにずかずかと家のなかに入っていって、第一声が『意外と片付いてるね』ときたもんだ。何しに来たのと問えば返事はなし。あのうざいくらい饒舌ないざやが黙り込むなんて珍しいムービー取っておこう、なんて携帯を弄ろうとしたら突如背中に重みと人の温もり。抵抗を試みるも離れようとしないし、かといっていかがわしいことをする気配もない。なのでこいつは放置して先程弄ろうとした携帯に手を伸ばして早二時間半。いい加減うざったいし何よりずっと同じ姿勢をとっていたせいか身体が痛くなってきたのでいざやに声をかける、というところで文頭に戻る。


「ねえ、なに。なんなのいざや。アポもなしに急に訪ねてきてそのたいど?わたしもそこまで暇じゃないわけ、わかる?」

「……」

「ちょっと、きいてんの?」


さっきまで阿呆みたいにうんうん頷いてたくせに今度は無視か。何様だよこいつ。うんもういい、わかった。


「どけいざや。流石のわたしも堪忍袋の尾が切れた。」

「…」

「…紅茶いれるからどけ!」

「いたっ」


勢いよく立ち上がってキッチンへ向かうと後ろからとたとたと足音がついてきた、と同時に再び背中に重み。本当にどうしたこいつ。


「…いざ、」

「…なまえー。俺さ、手に入れちゃったよ。どうしよう、ねえどうしたらいいと思う?煮る?焼く?炙る?でもそうするとあっちには影響でるのかな…ふふ、こうやってきかれたらなにを手に入れたか気になるでしょ?ねえなにを手に入れたか聞いてよ!君なら聞いてくれるよね?」


急に口を開いたかと思えば突拍子もないことをいいだした(しかもいっきにしゃべりだした)うざや。なにを手に入れたかを伏せたまま、くつくつと笑う息が首に当たってくすぐったいぞわぞわするなにこれ。


「なにを手に入れたんですかいざやさーん」


やる気なさを全面にだしつつきいてやれば私の背中に張り付いているあいつは君なら聞いてくれるって信じてたよと笑い


「デュラハンの首さ」


答えると同時、私の首に噛み付いた。



(かえしてこい、デュラハンさんに)(やだよ。君さ、ホラー系嫌いだったよね?あの首使って肝試しでもやろうかと思って!それか君が寝ている間に枕元に置いておいて監視カメラもつけて、君の反応をみるのもいいなあ!)(…もしもししんらー?今いざやが、)(はは、冗談)


いみふかおす!
なにこれ分類のしようがないていうか夢じゃない。
どうしてこうなった。
いざやさんがただの変態。
セルティかもんなかんじ。


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