たくよーさん 愛しき御方へのプレゼント *パニパレ 乃凪SS *オリジナルヒロイン *葵さんへ、お誕生日プレゼント 〜〜〜〜〜 「…ごめん」 「乃凪君、さっきからそればっかりだよ?」 呆れたと言わんばかりに苦笑いをもらしながら、彼女は優しく俺の額に手をあてる。 ひんやりとした体温。そのぬくもりが気持ちよくて、自然とまぶたが落ちてゆく。 「ほら、まだ熱下がってないんだから。ゆっくり寝なくちゃ、ね!」 促すようにズレた布団をかけてくれる。その気遣い一つ一つに愛しさを感じる。愛情という感情、そのもう一方で沸き上がるものは彼女への"罪悪感”。 今日は年に一度の大イベント、もとい彼女の誕生日だというのに。二人で懸命に考えた誕生日デートプランを、俺は風邪を引くという失態により見事に台無しにしてしまった。 そんな不甲斐ない俺を叱るでも見放すでもなく、彼女は心配してこうして甲斐甲斐しく看病までしてくれている。 そんな彼女の優しさに甘えっぱなしの自分は格好悪いと感じるし、また情けなくも思う。 だけど、自身の大切な日に彼女は他の何でもなく俺を選んでくれた。こんな、格好悪くて情けない俺を。 愛しさと罪悪感、そして更にもう一つ沸き上がってきた感情。 ──それは、確かな“優越感”。 「ごめん」 「だから私は気にして、っ…!?」 発した言葉ごと呑み込むように。伸ばされた腕を引き、彼女の柔らかな唇に口付ける。 一瞬だけ触れたぬくもりはひんやりとしたものだったのに、俺の体温を更に上昇させていく。 どうやら、俺は本格的に熱に浮かされているらしい。 風邪からくるものか、はたまた別の何かからくるものか。どちらにしろ、身体中どこもかしこも熱くて仕方ない。 「…私も風邪引いちゃいそう」 「君が風邪を引いたら、俺が看病するよ」 「本当?」 「あぁ。だからもう少しこのままで…」 引き寄せて、抱き締めて。 (触れた熱は果たしてどちらのものか) 戸惑いながらも、優しく抱きしめ返してくれる姿に更に愛しさが募る。ずっとこの時間が続けばいいのにと切に願わずにはいられないくらいに。それほどまでに、彼女は俺の中で大きく特別な存在となっている。 「誕生日おめでとう」 「うん、ありがとう」 「来年はきっと元気な姿でお祝いするから」 「来年だけじゃなくてその先の誕生日もずっと、ね?」 悪戯っぽい瞳で、彼女が楽しげに笑う。幾年も巡るであろう大切な時、その未来の日まで俺の姿を、彼女はその隣に思い描いてくれているらしい。 いま彼女の隣にいられることの幸せ、この先二人共に過ごすであろう日々。寄り添うぬくもりに愛しさを感じながら、俺は更に優しくその小さな身体を抱きしめた。 風邪引きラプソディー (願わくば、未来の日も君の隣で) END * 遅くなりましたが、葵さんお誕生日おめでとうございました!! 再び葵さんサイトのオリ主ちゃんをこっそりお借りしてしまいました…だって可愛いんだもの… どうぞこれからも宜しくお願いします! (追記) 呼び方がまちまちになってしまっていたので、少し修正を入れました。 |