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まそおせんせいの悲劇
*いつぞやの拍手御礼文の再録
*真朱先生と乃凪×亜貴
*先生がかわいそう



〜〜〜〜〜〜


本当に、偶然だった。
仕事の息抜きにとブラリ立ち寄った風紀会議室。今日もあいつら馬鹿やってるんだろうな、なんて暢気な気持ちで扉を開けた俺を待っていたのは想像していたどんちゃん騒ぎじゃなくて、少女漫画のような甘いラブシーン。まぁ正確にはその一歩手前、だけど。

頬を染めて可愛らしく目を閉じる少女と、その子の華奢な肩に手をかけてやたらと真剣な表情の青年。その距離およそ数センチ。唇が触れそうで触れない微妙なラインだ。

(あれ、これはもう確実にやっちゃたよな…?)

多大なる焦りと自己嫌悪と、そして若干の羨望。鳴呼、なんて正直で複雑な俺心!
動揺で思考も動作も完全に停止してしまった可哀想な俺。普段はどんな空気でもぶち壊してくれる救世主の登場も、この状況ではどうにも期待できそうにない。


「じ、じじ邪魔して悪かったな…!」


もはや頼れるモノは己だけ。身の安全の為、とりあえず爽やか且つあくまで何事もなかったかのように扉を閉めようと試みる。若干、声は裏返ったけれども問題なく許容範囲だ。
がらがらばたん、無機質な扉を閉めればそこはもう安全地帯。あとはひたすら職員室ダッシュすれば、きっと明日も元気に教壇に立てる。そうだ、今この瞬間から今年の目標は先生ライフエンジョイにしよう!

…なんて、一瞬でも思考を飛ばした俺が甘かった。



「真朱先生、こんなところに何か用事ですか?」


いや、こんなところも何も俺一応風紀の顧問だぞ?
扉を閉めるタイミングを完全に逃した俺の顔に、その言葉の一文字も口にできないほどのプレッシャーと視線がグサグサと突き刺さる。ドアに掛けた手を離し恐る恐る顔をあげれば、そこには真っ赤な顔でその場にうずくまってしまった少女もとい依藤と、にっこりと怖いぐらいに微笑んでいる青年もとい乃凪の、やはりツーショット。
“あー”だの“うー”だの恥ずかしさのあまりしゃがみ込んだまま謎の奇声を発している依藤はまだ可愛いとして、問題は乃凪の方。

一応笑みを浮かべてはいるが、それは上辺だけだ。
むしろ目元は確実に笑ってない。
向けられる視線は絶対零度、今なら俺はその眼差しだけで射殺されそうな気がする。


(神様仏様、もうこの際、沢登様でもいいから…!!)

どうかこの悪夢から俺をたたき起こしてください。そんな切なる願いも虚しく、にっこり笑みの乃凪から出されたのは沈黙を保ったままにかけられた“表へ出ろ”の視線での圧力。

文字通り、目の前が真っ白になった。


Help me!!

(さよなら、俺の先生ライフ…!)

END




いつぞやの拍手御礼文だった今日も仲良しナイ亜貴カポーと可哀想な先生のお話。
真朱先生って色々と間が悪そうなイメージがあるのですが、私だけでしょうか。

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