恋の条件 突然ぐい、と引っ張られて、 シートベルトのようにブラッドの腕に縛られる。 「お前はもう少しおとなしくしてろ」 すっぽりと納まってしまったブラッドの腕の中で、 香澄はますます顔を赤く染めた。 恥ずかしい。 しかし、顔に集まった熱と、 心臓が口から飛び出そうなほどにうるさい鼓動は、 恥ずかしさだけのものなのだろうか。 全身を駆け巡るドキドキが、 ブラッドに伝わりはしないかと気が気でない。 この感覚はまるで。 恋、みたいだなんて。 そんなことあるわけがない。 馬鹿馬鹿しい、と頭を振ると、 隣に座っているレインと目が合って。 何か言いたげにニヤニヤと笑うレインに、 香澄は思い切りアカンベをくれてやった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |