友達 「アイ、おかえりなさい!」 かなり高い階まで上ったところで、妖精族の女の子が飛んできた。 アゲハ蝶の羽で宙に浮く彼女は、 雛菊のようなふわふわとした黄色く短い髪をしている。 「デージー!」 香澄たちに付き合って歩いて階段を上っていたアイは、 ひらりと舞い上がり、くるくるとデージーと戯れる。 「そちらが救世主様?」 ふいに話しかけられたので、香澄は慌てて挨拶をする。 「ようこそ。お母様が中でお待ちよ」 デージーの言葉に首を傾げていると、アイが微笑む。 「デージーは、長老様の娘なのよ」 長老様と聞いて、香澄は老人をイメージしていたので、少し驚いてしまった。 こんなにうら若き娘がいるなんて、長老様は一体何歳なのだろう。 それとも、アイたちは子供のような見た目とは裏腹に、 既に長い歳月を生きているのかもしれない。 とにかく、階段をぐるぐると昇る作業は、やっと終わりらしい。 いよいよ長老様との対面の時を前にして、香澄は顔を引き締めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |