[通常モード] [URL送信]
アイの故郷
「もしかしたら、アイの故郷に行けば、何かわかるかもしれないわ」

アイの言葉を聞いて、香澄は目を輝かせる。

「本当?」

「うん、アイの故郷のフェアリーランドには、
アムールに関する古い書物がたっくさん眠っているの」

ブラッドとレインは、初耳だ、と目を丸くする。

「デスガ、あい」

エクジットだけは何やら事情を知っているようで、
不安げに見える表情を浮かべる。
実際は、エクジットの表情は香澄にはよくわからないので、
予想でしかないのだが。

「うん…でもフェアリーランドには、妖精族以外は入れてはいけない掟になっているんだ」

せっかくいい知らせだと思っていたのに、
香澄は奈落の底へ落とされてしまった。
それでは、どうしようも出来ないではないか。

落ち込んでいると、ふいに頭を乱暴に撫でられた。
この大きな手の持ち主は、もちろんブラッドだ。

「あのな、掟っていうのは破るためにあんだよ。よく言うだろうが」

「ブラッドったら!」

この台詞に機嫌を損ねたのはアイだが、
ブラッドは平然としている。

「じゃあお前は、香澄に家に帰るなって言いてぇのか?」

悲しげな顔で押し黙るアイの姿に、
香澄は胸が痛くなる。

「とにかく行ってみてからでもいいんじゃねぇか、諦めるのは」

それまで黙っていたレインが、ブラッドに拍手を送る。

「たまにはいいことを言うでゴザル」

「一言余計だ」

かくして香澄たちは、
フェアリーランドを目指すこととなったのだ。


[*前へ][次へ#]

2/13ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!