たみ様/獄寺甘夢
下校途中、雨に降られ私と獄寺君は頭から爪先、下着までびちゃびちゃになっていた。私の家の方が近いと言う理由から二人で全速力を決め込み家まで帰って来たけど張り付く衣服は気持ちが悪い。
「あーもう!びしょびしょだしっ」
「お前が傘持って来なかったからじゃねぇか!」
「獄寺君だって持って来て無かったじゃん!!」
「俺は朝の空模様以外信じてねぇんだ!」
「自慢になるか、ボケェッ!ほら、タオルで拭きなよっ!そして風呂、風呂行こう」
仕方なく持って来たタオルを使い玄関であらかたの水を拭いながら風呂に行こうと片手を差し出すと獄寺君は真っ赤になって居た。
「ふふふ風呂なんてテメェなんかと入れるかよ!」
「何純情ぶってんのさ、人の体を何十回と隈なく見ておいて。さー行く行く」
「…ッ!」
いつも変な所で照れるんだ、獄寺君は。ぐいぐいと風呂場に連行して行けば私は脱衣所で騒ぐ獄寺君を無視して勝手に服を脱いだ。
***
「あー…極楽極楽獄寺君」
「…」
「黙ってないで話してよー、今のは渾身のギャグだったんだけど。スルーされたら痛い子じゃん」
「うるせぇ…」
バスタブの中で獄寺君を背凭れにしてお湯に浸かり始めて早十数分。今だご機嫌斜めの獄寺君はそっぽを向きながら縁に両腕を乗せて無理に入ったんだけど特別嫌がる素振りも見せないまま私を広い広い胸板に納めてる。でも、口数は少ない。
「照れてるの?」
「…」
「だってお風呂一つしか無かったんだもん。私が後で入って後々風邪引くのなんて嫌だし獄寺君が後に入って引くのも嫌だったし…これしか方法無かったんだよ」
ジャボッと腕で波を作りながら拗ねた様に唇を尖らせる。私が話さなければ静寂が浴室を包む状態が嫌でこれでもかと言うくらい体重を掛けてやったら物凄い早さで引き剥がされた。
「怒ってる理由教えてよー」
「嫌だ」
「教えてくれないと服出してあげないから!」
「んっとにテメェは…男は狼だって解ってンのかよ」
「は?」
「お前は平気でも男には色々と、だっ…あるんだからな!」
「……」
口走る言葉に思わず思考が停止してお湯を撫でる手が止まったのも束の間。獄寺君の言う事が何と無く解っちゃって、私は方向転換。獄寺君と向き合った。
「なななななな、何しやがんだ!前向きやがれ!」
「やーだ、よ!」
「嫌だじゃね…っ、」
首に腕を回して引き寄せると不意打ちのキスを一つ。からかいがてら唇の境目を舐めてやれば立場は逆転した。
「テメェが誘ったんだからな…名前」
「ン、男の子って大変だね。入る前から欲情してたなんて」
「お前だから欲情するんだよ」
「…立派な口説き文句を有難う、獄寺君」
今日は雨が止んでも帰してあげられそうに、無い。
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21500HITたみ様リクエスト獄寺甘夢でした。最近の雨って嫌ですよね^^;その雨にも負けずお風呂でラブラブして貰おうじゃないか、と思い立っての文なので微妙ですが…喜んで頂けたらと思います!
たみ様リクエスト有難うございました!
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