紅鷲様/骸夢



僕の恋人は可愛くてクラスの誰にでも好かれている。ただ僕は其が気に喰わない。女子だけならまだしも当然男も寄り付く。


それが、僕の悩みの種だ。


「名前の髪って本当綺麗だよねー」

「え、そうかな?」

「うんうんっ、超綺麗だよー。ね、六道君!」

「ええ、凄く綺麗です」


名前の友人に声を掛けられて太陽によって僅かに茶色がかる髪へ手を伸ばし、触れる。絡む事なくさらりと指間を滑り落ちるこの髪は毎日触れて居るがこうして学校では少ない。名前が恥ずかしがって嫌がるから。


「もーっ、骸まで!」

「クフフ、すみません」

「良いから離れてよっ」


軽く首を捻られて指の隙間から髪が離れる。仕方なく腕を戻そうとした刹那変わり際に別の大きな掌が名前の髪を鷲掴んだ。


「マジ名前の髪綺麗だよなーっ、ちょい触らせてくれ!」

「えー?やめてよっ」

「良いから良いから!うわ、柔らかくて綺麗だ…さらさらするっ」

「そ、そうかなっ!?毎日お手入れしてるからねー」


仲よさ気に話始めたのはクラスのノリの良い男子だ。執拗に名前の髪に触れて撫で回す。僕の胸には沸々と熱い物が溜まる。何時もの事、と受け流そうとしたが瞬間的な彼の行動に目が釘付けになった。


「しかも良い匂いするなーっ」


僕の名前の髪に鼻先を埋めた彼に、僕の理性は音を立てて切れた。


―ガタン、―


「骸…?」

「な、なんだよっ」

「名前に触れないで貰えませんか」

「へっ…んわ!」


無理矢理手首を引っ張って自分の胸の中に名前を閉じ込める。先程触れていた箇所に顎を置いてクラスの男子を見詰めれば思いも寄らない言葉が返って来た。


「彼氏面すんなよな!」

「クフフ、事実彼氏ですから。ねぇ…名前?」

「ちょっ…むく、…」

「名前…見せ付けてあげましょうか」

「え、やっ…やめ…ン!」


頭頂から肩へ顔を落とすなり、名前の顎を人差し指で掬ってそのまま唇へとキスを落とす。チュ、チュと軽い音を何度か響かせた後簡単に開く唇の合間に舌を入れわざとクラス中に音が聞こえる様に絡ませてやった。


「んん、っふ…ハァ…」

「ン、可愛い僕だけの名前」

「は、っぷは…!」


暫く舐め合わせた薄桃色の舌同士をゆっくり引き抜く際に目の前の彼に視線を送る。案の定顔を赤くしていた。


「名前は僕の女だ。君だってキスの仕方から感じ方に至るまで一から教え込んだ女に気安く触れられては彼氏として黙ってられないでしょう?」


ニコリ、と笑い掛けながら脱力する名前に頬を寄せればそいつは下唇を強く噛み締めた。



それから名前には悪い虫は寄り付かなくなりました。




(骸のエッチ!)
(簡単に男子に触れさせる君が悪い)
(うー…)
(君は僕だけの女ですからね)






___________
10000HIT紅鷲今宵様リク
骸、嫉妬系甘夢でした!
誰のモノが解らせられましたかね?内容が内容なだけに糖分は高くも無く低くも無い感じになってしまい申し訳無いですがこれでも愛だけは込めました。
今宵様、リクエストありがとうございました!

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