架音様/雲雀吸血鬼パロ








血が無ければ僕は生きられない。
生命存続の為に、僕は他人の血を食す。どろりとして居て尚且つ爽やかな喉越し、舌の上に広がるは鉄。―…でも満足出来ない。

苦い苦い血では、嫌だ。






「…」


雲雀は闇夜を駆けていた。
月明かりに照らされる背には人間なら無い漆黒に塗れた異形の羽。其を使い空を駆けていた。今宵の食事に有り付く為に。


ふと暗い路地裏に視線を落とすと其処には独りの少女を囲む数人の若い洒落た男性が居た。雲雀は其を見て舌打ちをする、少女と男は範囲外。雲雀が求めるのは美しくグラマーな女だからだ。だが群れる姿を狩るのは食事因り優先すべき行為だ。地に降り立ち邪魔な奴らを薙ぎ払う。


…一人の少女を残して。


「…た、助けてくれてありがとうございました!」

「別に…ただ視界に入っただけだよ」

「それでも助かりました!あ、あの…御礼とか…」

「必要ない」


雲雀は興味が無いといった様に視線を逸らす。バサリと羽を広げ再び空に戻ろうとするも、ある事に気が付き飛び立つのを止めた。


「驚かないのかい?」

「何がですか?」

「鈍いな。羽だよ、羽」

「…ああ、綺麗ですね!」

「(天然…)」


呆れを見せ溜息をつくも目の前の少女は自分を恐れない。其は初めての事で雲雀の心を擽るには十分だった。俄かに感じる腹の減りも重なり緩慢に路地の古びた壁へ少女の背を付けさせると逃げられぬ様正面に立ち耳に唇を寄せる。


「僕は、吸血鬼なんだよ」


ぴちゃりと水音を響かせ耳の縁を舐めた後舌は首筋へと下降して行き肩へと埋まった。柔な少女の肌と肉に奥底が疼くのを感じ気付けばゆっくりと牙を突き立てていた。


「ン…」

「…あぁ、やぁああっ!」


じゅるじゅると吸い付き血を啜る。身悶える少女の顔を横目で見遣ればその表情は淫靡で雲雀の心臓を高鳴らせた。


―ゴク―


「御馳走様」

「はぁ、はっ…え…?」

「血を貰ったんだよ」

「あ…でもなんで急に…」

「腹が空いたから、それだけだ…だが君の血は甘いね」


首筋に付く二つの牙の穴後から微量に垂れる血を舐めてやればビクンと跳ねる姿に口角を吊り上げる。雲雀はこの時既に興味を抱いていた。


「ねえ、名前教えてよ」

「名前です、…貴方は?」

「…雲雀、雲雀恭弥」

「雲雀さん…」


ふわりと笑う名前に言い様の無い胸の高鳴りを覚え思わず胸に掻き抱いていた。ドキドキと心臓が高鳴り高揚させる、それは名前も同じで顔を赤くさせていた。


「また来ても良いかい?」


そう言った雲雀の顔は赤かった。








苦々しい物では無く初めて飲んだ甘い血液。

甘い甘い恋の味だった。






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何やら変な終わり方ですみません。2000HIT架音様リク雲雀吸血鬼パロでした!架音様リクありがとうございました!

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あきゅろす。
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