孤白様/10ツナ死ネタ




私と貴方は永遠に幸せにはなれない


片方が、なら幸せになれる。
でも、私達、二人では幸せになれない。







二人一緒に幸せになる事はない













「名前」

「綱吉…」

「…そんな顔しないでくれないかな、名前」

「ごめん」


純白のタキシードに身を包んだ綱吉、彼はこの10年で見違える程に身長も伸びて女の子の様だった奈々さん似の顔付きも随分凛々しく、本当に男前になった。淡いピンク色のドレスを着た私では届かない存在になるくらい、彼は変わった。


マフィアのボス


一般人(と、言っても最初からボンゴレの血を受け継いでいるから実際は最初からマフィアなのかも。だけど綱吉本人が中学生の始め頃まで知らなかったのだからそれまでは一般人)からマフィアになった綱吉が今はボンゴレの頂点を統べる唯一無二の存在。

私も同じく一般人からマフィアになった。

綱吉を追い掛けて。



「いよいよ盗られちゃうんだね」

「相手は、良い人だからさ」

「そっか」


でも、マフィアになったって所詮綱吉には届かない。いや、マフィア界のご令嬢にさえ届く事が出来ない。
私では何もかもが違いすぎて


(身分の違い、嫌という程知った)


だってファミリーに入ったって私は綱吉を守る事しか出来ない“人殺し”

ボンゴレに仇なす邪魔者を廃除し常にトップへ君臨させ続けさせるための駒に過ぎない。


「羨ましいなぁ」

「え、なにがだよ」

「綱吉のお嫁さんになる方」

「は?」

「だって私、そのポジション目指してファミリーに入ったんだもん」

「名前…」


(私を呼ぶ声が、必死に押さえ込んだ想いを簡単に飛び出させる)


「綱吉の事が大好き。ううん、大好きなんて言葉じゃ伝え切れない位好きで好きでたまらないの」

「やめろ」

「中学時代から綱吉だけが好きだった」

「やめろって言ってるだろ!?」


―チュン―


頬に掠る鉛弾に私は眉を寄せた。綱吉は本当に変わったね、今は戸惑いながらでも、発砲出来る。


「俺は、今日結婚するのに…なんでそんな事今更言うんだよ!」

「今しか無いから言うんだよ!だって明日からは、綱吉の隣に立てないもん!」

「何、言って…」

「今までは無条件で護衛として隣を歩いてた!でも、心の中では恋人みたいだって…二人で隣を歩ける事が嬉しかった!でも、明日からは隣に居ても違う!奥さんが本当の隣に居る様になる、私は、私は…っ」


ボスと護衛という立ち位置
夫婦という存在には勝てない
隣には居られない




「右に居ても左に居ても奥さんには敵わなくなるなんて嫌だ、っ…」



それならいっそ死んだ方が良い。綱吉の幸せそうな顔を見て生きるのは辛い。

(私が、幸せにしたい)

(でも、それは不可能で)

そんな世界じゃ生きられない





「殺して…」

「名前…」

「私は生きてたら奥さんを殺しちゃう」

「!」

「殺して、よ。私がファミリー内で殺人者になる前に」


(命令のない殺人は、貴方への冒涜)






―チャキ―


銃口が此方が向いたのを確認してから静かに目を閉じる。

愛しい人に殺されるなら本望だから。












「名前が死ぬ必要はないよ、俺が死ぬ」

「は?綱…―」

「俺も名前の事だけ好きだったって言ったら、信じてくれる?」


―パアン!―


一発の銃声
目を見開けば綱吉が倒れていた。



「つ、なよ…」



“俺も名前の事だけ好きだったって言ったら、信じてくれる?”



それは、同じ気持ちだったって信じて良いのかな、綱吉…

だとしたら嬉しい












私は笑いながらシリンダーを回した。








(もう、ずっと一緒だよ)








―パン、―


世界の始まる音がした





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30000HIT孤白様リクエスト10年後ツナ死ネタ
なんか狂愛ちっく(?)ですが報われない愛的な感じです。
孤白様有難うございました!!



09/9.4

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あきゅろす。
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