広い世界の夢物語 8 「しかし……次の島へのログが一年ってのは深刻だな」 「そうよ!笑い事じゃないの、本当に」 ゾロの言葉に、ようやく深刻さが戻る。 礼をしたいと言う巨人達に、ルフィがログを何とかしてくれよと頼んでみるが、ログばかりはどうすることは出来んと言われる。 どうしたものか、と皆で頭を抱えている最中、ふとマルロスがジャングルに振り返る。 直後、ジャングルの中からサンジが出てくる。 締まりのない顔はいつものことだが、命懸けで戦ったウソップには腹立たしかったらしい。 助けにも来ないで今頃来やがって、とぶちぶちと文句を言うウソップは無視して、サンジが駆け寄ってくる。 が、そこに居る巨人に驚いたサンジが、思いがけない一言を発する。 「お前がMr.3か!?」 今まで何をしていたかは知らないが、バロックワークスとの戦いとは無縁だったはずのサンジの口から、ルフィがぶっ飛ばしてきたMr.3の名前が出てくるとは。 驚いたナミが、マルロスのコートを羽織っただけの格好でサンジに問い掛ければ、いつものようにサンジの目がハートになり飛び出す。 そして、さっきまでのことを話し始めたサンジの言葉に、ビビが驚きの声を上げる。 まさか、つい今さっきまで電伝虫でMr.0と話をしていたとは。 「私達はもう死んだことになってるの!?」 「ああ……!そう言っといた」 紫煙を燻らせながら、サンジがにやりと笑う。 Mr.3になりすまし、ボスに嘘の情報を流したサンジの機転で、おそらく追手はもう来ない。 だが、この島を出ることが出来ない現状にウソップが涙を堪えて嘆くと、不思議そうにサンジは首を傾げる。 「まだ何かこの島に用があんのか?せっかくこういうモンを手に入れたんだが……」 「!?」 「………え!?なに?」 サンジがポケットから取り出した物、それはひとつのエターナルポース、しかも行き先はアラバスタ。 全員が歓声を上げる。 嬉しさのあまりにか、ビビは思わずサンジに抱き付く。 現状をよく判らないまま、取り敢えずビビに抱き付かれて鼻の下を伸ばすサンジを放って、急いで出航するべく船へと戻ることになる。 狩り勝負のことを忘れていないゾロとサンジは、俺の方がでかいと獲物も見ずに自信満々な様子だ。 そんな2人に苦笑いを浮かべ、マルロスは木苺で一杯の篭を拾い上げると、巨人達に軽く頭を下げて仲間の後を追う。 [*前へ][次へ#] |