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広い世界の夢物語


オールを用意して、さぁ出口まで漕ぎ始めようとした時、鉄扉の途中にある小さな扉が開く。

「ああああああぁぁ…」

絶叫しながら、飛び出した3つの人影。
先に飛び出した2つの人影は、年若い男女らしきもので見覚えがないが、その少し後ろに居るのはどう見てもルフィだ。

「ル……ルフィ……!?」

「よォ!!みんな、無事だったのか!とりあえず助けてくれ!!」

言うだけ言って、見事な放物線を描いて飛び出してきたルフィともう2人は、盛大な水飛沫を上げて船の両側へ落ちる。

「ルフィは置いといて、また変なのが2人いるんだけど…!!」

「いや、あの……ルフィ、沈んでますよ!?」

そう言えば、ルフィは悪魔の実を食べて泳げない身体になったんだ、とマルロスが慌てても他のクルーは然程慌てない。
ウソップが、鉄扉の梯子を登っていくクロッカスの姿に気付いて声を張り上げるが、どうでも良いとばかりに無視される。

「ほっとけ、ひとまずルフィを引き上げる」

ゾロはそう言って、甲板から沈んでいるルフィを引き上げに飛び込む。
同時に、甲板を駆け降りて倉庫から浮き輪を持ち出してきたナミが、反対側で溺れている2人に放り投げる。
浮き輪にしがみつき、ロープを掴んで必死に船の甲板に這い上がってくる変な2人と、ゾロに放り上げられたルフィ。
一応、ゾロを含めそれぞれにタオルを渡すマルロスに対して、他のクルーは変な2人に注目している。
サンジに至っては、水色の髪の女性にしか目が向いていない。
くわえ煙草の煙が、器用にハートを形作っているのを見て、マルロスは密かに首を傾げた。
そうこうしている内に、クジラが不意に大人しくなる。

「―――クジラが大人しくなった……」


 

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あきゅろす。
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