広い世界の夢物語
オカマ
「ねぇビビ、今更だけどクロコダイルってどんな奴なの?」
「………アラバスタでは英雄と呼ばれてるわ」
甲板に座り込み、ビビは複雑な表情で語る。
海賊達の侵略から、クロコダイルは表向きアラバスタを守護するような働きを見せ、信頼を勝ち取っている。
その裏の顔を知る者は、誰一人居ないと言う。
ビビは、まず暴動をおさえて、そしてB・Wを国から追い出すことで、アラバスタを救おうと考えていた。
罪のない国民同士の争いを、まず止めたいのだ。
B・Wのシステムについて説明するビビの話を聞きながら、マルロスはぼんやりと考えた。
今の自分に何が出来るか、ビビのために何をしてやれるか。
それは考えるまでもなく、反乱を止めようとする自分達の前に立ちはだかるであろう、B・Wのオフィサーエージェントを倒すこと。
腰に下げた双剣に手を遣り、マルロスは大きく深呼吸をひとつすると、真っ直ぐにビビを見つめた。
それから数日、時折釣り上がる魚で何とか飢えを凌ぎながらアラバスタへ向かうG・M号で、オカマが釣れた。
"マネマネの実"とやらを食べた能力者で、何故かルフィとウソップ、チョッパーが仲良くなって、その場に居合わせたナミとゾロも含め、5人の顔がマネマネの実でコピーされた。
そして、その大柄なオカマが自分の船に戻って遠ざかる時、初めてそのオカマがMr.2だと判って。
事の重大さに慌てたチョッパーに呼ばれ、船室で何も知らずに本に夢中だったマルロスはそんな話を聞かされ、マズイのではないかとナミを見る。
「確かに……敵に回したら厄介な相手よ……!!あいつがこれから私達を敵だと認識しちゃったら……!!さっきのメモリーでこの中の誰かに化けられたりしたら……私達、仲間を信用できなくなる」
「そうか?」
「ルフィ……」
重大さを判っていないのか、心底不思議そうなルフィにナミが説明しようとするが、それをゾロが遮る。
びびる必要はねェ、と。
「今あいつに会えたことをラッキーだと考えるべきだ……対策が打てるだろ」
ニヤリ、と笑うゾロの言葉に、慌てていた雰囲気が落ち着く。
確かにゾロの言う通り、アラバスタに着く前に会えたことで事前に能力を把握出来たし、それに対する対策も考えられる。
顔をコピーされたのは不運だったが、上陸前に会えたのはラッキーだったのかもしれない。
「でも、対策って?」
「おれに考えがある」
不安そうなビビに、自信ありげに答えたゾロが対策を打つのは上陸前でいいだろうと続けたので、多少の不安はありつつもこの話は終わりとなる。
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