広い世界の夢物語
3
エターナルポースを見つめ、ビビがどうすべきか悩んでいる。
世話になる身としては、迷惑を掛けないように安全な航路を選ぶべきだろうが、それでも敵が指し示す道には躊躇いがある。
そんな迷いが、ありありと表情に浮かぶビビを見守る中で、ルフィが帽子を被り直してビビの手からエターナルポースを奪い取る。
何をするのかと思えば、エターナルポースを差し出したことが罠かどうかどっちでもいいと、エターナルポースを握り潰してしまう。
次の瞬間、ナミの怒鳴り声と同時の飛び蹴りに、ルフィの顔が変形する。
「せっかく楽に行ける航路、教えてくれたんじゃないっ!!あの女がいい奴だったらどうすんのよーっ!!」
憤るナミに、ルフィはきっぱりと言い放つ。
「この船の進路をお前が決めるなよ!!」
真っ直ぐに、ミス・オールサンデーを睨み付けて言い放たれたルフィの言葉に、彼女は何処か満足そうに笑む。
「………私は、威勢のいい奴はキライじゃないわ……生きてたらまた逢いましょう」
「いや」
きっぱりと言うルフィに、彼女は楽しげな笑みを浮かべたまま船縁に近付き、そのまま海へと飛び降りる。
驚いて海を覗けば、そこには大きなカメが居た。
その背に乗って遠ざかるミス・オールサンデーを、ルフィが羨ましそうに眺めている。
そんなルフィの後ろで、ビビが訳の判らない言動で翻弄してきたミス・オールサンデーに頭を悩ませているが、ナミやゾロはもう既に割り切っている。
何を考えているのか判らない奴なら、この船の船長もまたそう言う奴なのだから。
ビビは、この船に迷惑をかけることを心苦しく思っているようだが、もう乗り掛かった船なのだ。
今更、もう誰もそんなことを気にしてなどいないと、ナミがルフィに振り返る。
「朝だ――――っ!!サンジ朝メシ――!!」
全く話を聞いていない、どうでもいいとしか現状を思っていないようなルフィの雄叫びに、ビビは苦笑いを浮かべる。
「さァ、日が登った……とりあえず船を進めよう!!」
サボテン島を後にして、アラバスタ王国王女ビビをアラバスタまで送り届けるため、メリー号はグランドラインを走る。
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