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広い世界の夢物語


だけど、ミス・オールサンデーは変わらずに足を組み、膝に頬杖を突いた姿勢のまま。
どうやって、と誰もが驚いて彼女を見上げる。
そんな中、サンジ達が甲板に落ちるのとほぼ同時に、武器を構えていたゾロとナミ、マルロスの武器が突然手から弾き落とされる。

「え!?」

何が起こったのか判らない、だけど何かされた。
悪魔の実の能力者、そう疑うまで時間はかからない。
緊迫した空気が流れる中、彼女は悠然と笑う。

「フフフッ……そうアセらないでよ。私は別に何の指令も受けてないわ、あなた達と戦う理由はない」

落とされた剣を拾い上げ、マルロスはじっと彼女を見上げる。
不意にルフィの麦わら帽子が浮き、ミス・オールサンデーの手元へと飛んでいき、大切な麦わら帽子に無断で触られたルフィが怒鳴る。
そんなルフィに、ミス・オールサンデーは笑みを浮かべたまま言葉を繋ぐ。

「不運ね……B・Wに命を狙われる王女を拾ったあなた達も、こんな少数海賊に護衛される王女も……!!」

ルフィの麦わら帽子をテンガロンハットに重ね、彼女は淡々と言葉を続ける。
何よりの不運は、ナミの持つログポースが指し示す次の島だと言う彼女は、順にクルーの顔を見回す。
次の島で、クロコダイルの顔を見ることなく全滅するだろう、そんな予言めいたことを口にするミス・オールサンデーを、ルフィは再び怒鳴り付ける。

「遠吠えは結構、虚勢をはることなんて誰にでもできるわ」

そう言って、彼女が指を弾くのと同時にルフィに麦わら帽子、ビビの手にエターナルポースが飛んでくる。

「それで困難を飛び越えられるわ。その指針がしめすのは、アラバスタの一つ手前の何もない島。ウチの社員も知らない航路だから追手も来ない」

敵でありながら、何故か楽に行ける航路を示すエターナルポースを差し出したミス・オールサンデーに、戸惑いと不審の眼差しが向けられる。
マルロスも、一度は鞘に収めた剣の柄を再びきつく握り締めながら、ただ黙って成り行きを見守る。


 

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