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広い世界の夢物語


倉庫からスコップを持ってきたマルロスは、ふと空気の変化を肌で感じた。
微かな変化ではあったが、念のためナミに伝えておいた方が良いだろうと判断し、ラウンジへと向かう。
何やら怒鳴り声が聞こえたが、マルロスは敢えて何も聞こえなかったことにして、努めて普段通りの表情で扉を開く。

「ナミさん、ちょっといいですか?」

「どうしたの?」

「空気が少し変わったようなので……」

気を付けた方が良い、と続くはずだったマルロスの言葉を遮るように、雷鳴が轟いた。
キッチンの窓から外を見て、ナミが愕然としたように呟く。

「さっきまでは、暑いくらいポカポカの晴天だったのに。クロッカスさんの言ってた通り、季節も天候も、デタラメに巡ってる!!」

毛布にくるまった2人、Mr.9とミス・ウェンズデーが呆れたようにナミを見つめ、白い息を吐きながら言う。

「……………君ら、ずいぶんこのグランドラインをナメてる様だな」

「さっきからずっと舵取ってないけど、大丈夫?」

「ずっとって、ついさっき方角は確認して……」

疑問を抱きながら、ナミが自分の腕につけたログポースの指針を見る。
傍らから、同じようにログポースを覗き込んだマルロスは、その針の先を見て目を見開く。

「あ―――――っ!!!!」

「な!!何だ、どうした!!」

「何事っすか、ナミさん!!」

突如上がったナミの大声に、甲板からも驚きの声が上がる。
ナミの大声に耳を塞いだマルロスも、驚きの表情を浮かべたままログポースを見つめる。


 

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