広い世界の夢物語
2
倉庫からスコップを持ってきたマルロスは、ふと空気の変化を肌で感じた。
微かな変化ではあったが、念のためナミに伝えておいた方が良いだろうと判断し、ラウンジへと向かう。
何やら怒鳴り声が聞こえたが、マルロスは敢えて何も聞こえなかったことにして、努めて普段通りの表情で扉を開く。
「ナミさん、ちょっといいですか?」
「どうしたの?」
「空気が少し変わったようなので……」
気を付けた方が良い、と続くはずだったマルロスの言葉を遮るように、雷鳴が轟いた。
キッチンの窓から外を見て、ナミが愕然としたように呟く。
「さっきまでは、暑いくらいポカポカの晴天だったのに。クロッカスさんの言ってた通り、季節も天候も、デタラメに巡ってる!!」
毛布にくるまった2人、Mr.9とミス・ウェンズデーが呆れたようにナミを見つめ、白い息を吐きながら言う。
「……………君ら、ずいぶんこのグランドラインをナメてる様だな」
「さっきからずっと舵取ってないけど、大丈夫?」
「ずっとって、ついさっき方角は確認して……」
疑問を抱きながら、ナミが自分の腕につけたログポースの指針を見る。
傍らから、同じようにログポースを覗き込んだマルロスは、その針の先を見て目を見開く。
「あ―――――っ!!!!」
「な!!何だ、どうした!!」
「何事っすか、ナミさん!!」
突如上がったナミの大声に、甲板からも驚きの声が上がる。
ナミの大声に耳を塞いだマルロスも、驚きの表情を浮かべたままログポースを見つめる。
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