広い世界の夢物語 4 そうして、どれだけの時間が過ぎ去ったのか。 ようやく、出航当初のように穏やかな気候に落ち着いたグランドラインに、ずっと走り回ったメンバーは力尽きてその場に倒れ込む。 マルロスも、疲れきってラウンジの扉に凭れたまま、乱れた髪を整える余力もない。 「ん〜〜〜〜〜〜……くはっ、あ―――寝た……ん?」 あれだけ騒がしくても、なお眠り続けていたゾロが今更になってようやく目を覚ましたのか、呑気な声が響く。 「………おいおい、いくら気候がいいからって全員ダラけすぎだぜ?ちゃんと進路はとれてんだろうな?」 今まで寝ていて、どれだけ大変な状況だったか知らないからこその言葉だが、今はそんなゾロに怒鳴り返す力もない。 無言の突っ込みには当然気付かず、ゾロはようやくMr.9達の存在に気付く。 「今そいつらの町へ向かってるんだ」 唯一、他のクルーのように力尽きて倒れていなかったルフィが答え、ゾロも普通に会話を続けている。 出来るなら、船長として一言ぐらいゾロに言ってやってほしいところだが、ルフィはのんびりとゾロと会話している。 起き上がった2人の前にしゃがみ込み、その顔を覗き込みながらニヤリと笑い、探るように話しかける。 「どうもその名を初めて聞いた時からひっかかってんだ、おれは。どこかで聞いたことがある様な……ない様な……!!」 びくりと肩を震わせ、ゾロの探るような眼差しに怯えたような2人を、マルロスはぼんやりと眺める。 何だかよく判らないが、ゾロはあの2人に何やら心当たりがあるみたいだ、と考える。 そう考える目の前で、今更目を覚ましたゾロにキレたらしいナミが拳を落とし、睨み返すゾロを更に殴り付ける。 その光景からは、マルロスは意識して目を逸らす。 [*前へ][次へ#] |