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広い世界の夢物語


船の進行方向を指しているはずの指針が、真逆、進行方向とは正反対の方角を指しているではないか。
慌ててナミが、ラウンジから飛び出す。

「180度船を旋回!!急いで!!」

引き返すことに驚き、ナミに問い返すウソップとルフィに、ナミが怒鳴る。

「違うわよ!!船がいつの間にか反転して、進路から逆走してるの!!」

波は静かだったのに、と慌てるナミの背に、毛布にくるまったMr.9とミス・ウェンズデーが馬鹿にしたように声を掛ける。

「ここはこういう海よ、風も空も波も雲も、何一つ信用してはならない。不変のものは唯一、ログポースの指す方向のみ!!おわかりかしら?」

「偉そうにウダってないでさっさと手伝え!!」

客人ではない2人が偉そうに講釈をして、毛布にくるまったまま何もしないことに腹が立ったのか、それとも波に遊ばれたことに腹が立ったのか、ナミが2人を蹴り飛ばす。
ラウンジの外に2人を蹴り出して、邪魔になるコートを脱いでナミが指示を飛ばす。

「ブレイスヤード右舷から風を受けて!!左へ180度船を回す!!ウソップ、マルロスと2人で三角帆(うしろ)を、サンジくん舵取って」

「まかせろナミさん!!」

「うるさい!!」

スコップを邪魔にならない場所に置いて、マルロスはナミの指示に従い後甲板に走る。
だけど、三角帆を操ろうとロープに手を掛けた時、風が変わったことに気付く。
今度は誰もが判る変化で、気付いたウソップがナミに伝える。
何故か今度は、春一番の心地好い風が吹く。
まるでそれが合図のように、途端に天候の変化が激しくなる。
天候の変化毎に、飛び交う指示も変わり、船上を慌ただしく走り回る。
初めは呑気だったルフィも、事の重大さに気付いたのか、すぐに素直にナミに従う。
帆船の操縦に不慣れなマルロスも、起こしても起きないゾロの分まで働かなければならず、慣れないながらに必死で指示に従う。
そんなメリー号の奮闘を嘲笑うかのように、グランドラインは目まぐるしく変化する。





 

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