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広い世界の夢物語
12

実況の叫びが響き渡り、ルフィとウソップは肩を組んで喜ぶ。
マルロスも安堵の溜め息を吐き出し、騒ぎに目を覚ましナミに急かされた審判が笛を吹いて、無事にゲームが終了する。

『麦わらチ〜ム!!大勝利〜〜〜っ!!』

「サンジ!!ゾロ!!」

悠然と歩いて戻ってきたサンジとゾロに、マルロスが笑顔で出迎える。

「お疲れ様」

「おう」

サンジはマルロスに笑みを返すと、ナミとロビンにハートを飛ばす。
ウソップは、怪我人だと言うのにゾロをバシバシと叩いて喜んでいる。
マルロスはゾロに刀を返す。

『さ―――、それじゃあ二回戦の勝者麦わらチームには、フォクシー海賊団から船員1名もしくは海賊旗を奪う権利が与えられるよ〜〜〜っ!!』

誰が欲しいのかな、なんて実況に合わせてドラムロールが鳴る中、ルフィがチョッパーを呼ぼうとしたのをナミが止める。

「三回戦は一対一の決闘よね。出場選手はルフィとオヤビンだけ。じゃあ今、オヤビンを取っちゃえば三回戦は不戦勝になって…もうこれ以上戦う事もなくチョッパーを取り戻せるんじゃない?」

ナミの提案に、実況が叫ぶ。

『ピ…ピーナッツ戦法だ〜〜〜!!信じ難い!!耳を疑う悪魔の提案、人に非らず、その女!!その名も"外道"!!航海士ナミ〜〜〜!!』

フォクシー海賊団からは、一斉にブーイングが沸き起こる。
不戦勝は勝利じゃないとか、見損なったとか、それはもう言われたい放題だ。
ロビンに泣きつくナミに、冷静なロビンが美学に反するみたいね、とぽつり。
ルール上問題はなくとも、海賊の美学に反するらしい。
と、いつまでもブーイングするフォクシー海賊団にナミがキレて、迫力だけで黙らせたところでマルロスが気付く。

「ナミさん、それだと決着をつけられますけど、同時にオヤビンが仲間になりますよ?」

「え」

「「あれはいらねえ」」

マルロスの言葉にルフィを初め麦わら一味全員が、遠慮しますとばかりに手を振る。
ちなみに、マルロスもいらないと思っている。

「チョッパー!!帰って来い!!」

ルフィが叫ぶと同時に、ステージからチョッパーが走ってくると、がしぃっとルフィに抱き着く。
涙と鼻水を垂らしながら、チョッパーがありがとうと言う。
そんな感動をよそに、麦わらの一味全員からいらないと言われたフォクシーが、落ち込みまくっている。
仲間に励まされて顔を上げたものの、サンジの茶番はいいから次いけよ、の一言に更に落ち込んでいる。


 

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