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広い世界の夢物語


「……キス、してもいいか?」

「うん」

マルロスが頷き、サンジは少し背伸びをして唇を重ねる。
少しだけかさついたサンジの唇に、マルロスはあぁ愛しいな、と実感していた。
こんな想いは、初めてだった。
主君への忠誠心とも、親友達への友愛とも違う、ただ無性に愛しかった。
胸の内が暖かくなる、そんな愛しさにマルロスは笑みを浮かべる。
これまでに、誰かから想いを寄せられ告白されることはあったが、いつもマルロスは振られる側だった。
だから、自分の意志で想う相手を見つけてその気持ちを伝えるのは、サンジが初めてだった。
ついでに、マルロスから誰かを振るのもゾロが初めてだった。
だけど、やはりマルロスにとって心から愛しいと想えるのはサンジで、ゾロはライバルと言った方がしっくりきた。
だからこそ、ハッキリとその想いを告げた。

「絶対ェ泣かせねェから」

「うん」

互いの額を軽く寄せ、間近で笑い合う。
これから先のことは判らないけれど、マルロスはサンジに泣かされることがあっても、きっと離れられないだろうと思った。

「サンジ、これだけ覚えておいて?エルフは一度心を決めたら一途なんだ、って」

「おう」

ふふっ、と笑うマルロスに、サンジも笑みを浮かべる。
互いの目を見れば、愛しいと言う気持ちが伝わる。
そして2人は、どちからからともなく手を繋いで、賑やかな宴の中に戻った。


 

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