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広い世界の夢物語


「マルロス?」

不意に聞こえたのは、サンジのものだった。
2人の姿が見えないことに気付いて、落ち着かなくなって探していたのだ。

「…………邪魔したか?」

「ううん、大丈夫だけど……何かあった?」

「いや……」

決まり悪そうなサンジに、マルロスは首を傾げる。
そんなマルロスの頭を撫で、ゾロはサンジの横を通り抜ける。
すれ違う瞬間、足を止めたゾロはサンジの顔を見ずに言う。

「マルロスを泣かせたら、おれが拐うからな」

「は?」

意味が判らない、と言いたげなサンジは無視してゾロはその場を立ち去る。
その背中を見送って、サンジはマルロスに向き直る。

「あー………その……今の、マリモの言い方だと、さ……」

「ふふっ……うん、ゾロの気持ちには応えられないって、振っちゃった」

何処かスッキリした顔で、あっけらかんと告げられた真実に、サンジは目を見張る。

「正直に言えばね、私から誰かを恋慕うことはこれが初めてだから……よく判らないことだらけだけど、サンジが言っただろう?好きだから護りたいって」

「あぁ……」

「同じことを、私もサンジに想うんだ。気付いたのはつい最近だけどね」

「え?じゃあ……」

「うん。私はサンジが好きだ」

あっさりと告げられた事実に、サンジはしばし固まる。
微笑みさえ浮かべているマルロスに、サンジはじわじわと指先から実感が湧き上がる。

「私は、護られているだけなんて御免だから、サンジが私を護ってくれるなら私はサンジを護りたい」

「当たり前だろ、マルロスはおれが護る……ナミさんとロビンちゃんも、だけど」

「ふふっ、サンジの正直なところは好きだよ。うん、それでも構わないよ……サンジのそういうところには苦労するかもしれないけど、それでも私はサンジと生きたい」

「っ、すげェ殺し文句……」

顔を真っ赤にさせたサンジに、マルロスはくすくすと楽しげに笑う。
それでも、ようやくマルロスの想いを実感したサンジは、ゆっくりとマルロスに歩み寄る。
手を繋いで、確かめるようにマルロスの細い身体を抱き締めたサンジに、マルロスは小さく笑みを浮かべる。
服越しに伝わる体温と鼓動に、こんなにも安心している自分に気付いて、サンジも同じことを思ってくれていたら、とマルロスは思う。


 

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あきゅろす。
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