広い世界の夢物語
6
砲弾が破裂して、爆炎にその身体が包まれる。
「あの、おっさん、自分から弾を…!!」
「まさか……このクジラを守ったの……!?」
何がどうなっているのか、マルロスたちには判らないままに再びバズーカを構えた変な2人組が、クジラを食糧にすると意気込む。
どうしたら良いのか、目を丸くして戸惑うばかりのクルーを尻目に、再びバズーカを放とうとした2人組の背後にルフィが近づく。
ガンッ、と鈍い音がして、2人が甲板に倒れる。
「何となく殴っといた!!」
「…………何となくで人を殴っては駄目ですよ、ルフィ……」
「そうか?」
悪びれた様子もないルフィに、取り敢えず注意したマルロスの声にも力がなく、困ったような戸惑ったような表情を浮かべている。
ひとまず2人組を縛り上げ、クロッカスの小さな島に集まって話を聞く。
「―――このクジラはアイランドクジラ。"西の海"にのみ生息する、世界一デカい種のクジラだ。名前は"ラブーン"」
デッキチェアに腰掛け、縛り上げた2人組を睨むように見遣ったクロッカスは、その2人が近くの町のゴロツキだと言う。
ラブーンと言うこのクジラを捕らえて、町の食糧にするために狙っているらしく、話を聞く限り襲撃はこれが初めてではないようだ。
ラブーンが襲われる度に、いつも彼が守ってきたのだろうとマルロスも考える。
「こいつが"赤い土の大陸"にぶつかり続けるのにも、リヴァース・マウンテンに向かって吠え続けるのにもわけがある」
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