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広い世界の夢物語
告白の返事

そんな騒ぎの中、マルロスは気持ちに区切りをつける。
ずっと考えて、迷っていたことの答えを見つけた、そんな気持ちがあった。
ジョッキを煽り、酔えないエルフの身体に少しだけ苦笑する。
これで酔えたら、お酒の勢いを借りて伝えられるのに、と。
もっとも、こんな話をするのは素面じゃなきゃ意味がない。
酔っぱらいの戯れ言、と勘違いはされたくなかった。

「……でも、初めてのことだから、ちょっと緊張するなぁ」

ぽつり、と小さく呟いたマルロスは、もう一杯ジョッキを煽ってから立ち上がる。
シャンディアの戦士、ブラハムと飲み比べをしていたゾロに近付いたマルロスは、丁度相手を潰したゾロに声を掛ける。

「少しいい?話があるんだ」

「………おう」

ジョッキに残っていた酒を飲み干し、ゾロはマルロスの後に続く。
マルロスは、宴の騒ぎの中心から少し離れた遺跡の影で足を止めると、同じように立ち止まったゾロに向かい直る。

「…………」

「……返事だろ?」

「……うん」

なかなか言い出せないマルロスに、ゾロは急かすことをせずに黙って待つ。
そして、マルロスは意を決したように口を開く。

「―――……ゾロの気持ちは、凄く嬉しい。でも、私はゾロとは恋人にはなれない」

「あいつを選んだのか?」

「そうじゃない、ただ……ゾロとは剣の腕を競い合うライバルで居る、その方が私の中では自然なんだ」

「…………そうか……」

苦笑を浮かべながら、それでも真っ直ぐにゾロを見つめて自分の気持ちを伝えたマルロスに、ゾロはガリガリと頭を掻く。
お互い、何処かスッキリしていた。
今まで曖昧な関係だったが、これで自分達の関係性がハッキリした、そう感じていた。
ゾロにとっては、マルロスをただの仲間と呼ぶには愛しくて、 マルロスにとってはただの仲間と呼ぶには物足りなかった。
だけど、マルロスの気持ちがハッキリした今、剣の腕を競い合うライバルと言う関係が残されて、不思議な程、それがしっくりと来た。

「………泣かされたら、いつでも言えよ。おれが拐ってやるから」

「ふふっ……そうだね。それも悪くないな」

互いに顔を見合わせ、どちらともなく笑い合う。


 

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