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広い世界の夢物語
16

そしてエネルは、右手を突き上げると、雷を放つ。
それはシャンドラの上を覆う雲を突き破り、更に上層遺跡の足場をも砕く。
ゾロ、ワイパー、空の主が真っ逆さまに落ちていく。

「ヤハハハハハ!!終曲といこうじゃあないか!!」

時を同じくして、落ちていく空の主の腹からナミ達が脱出を試みた。
ピエールに乗ったガン・フォールと、ウェイバーに乗り込んだナミ。
そして、ナミのウェイバーにしがみついたルフィと、ルフィに掴まったアイサ。
だが、ルフィが掴まっている場所がウェイバーの噴射口だとアイサが気付いた時には遅く、ナミはアクセルをふかしてウェイバーを発進させる。
当然、その噴射に弾かれたアイサとルフィは置き去りにされ、それに気付いたガン・フォールがピエールに止まれと言う。
急ブレーキをかけたピエールの背から、勢いのままガン・フォールが空の主の口から飛び出すと、状況は最悪だった。
とにかく、ピエールには中の2人を任せることにして、ナミとガン・フォールは落ちていく。






一方のマルロスはと言えば、エネルの雷に貫かれた身体を少しでも回復させようと、仮眠を取っていた。
だが、不意に騒がしくなってきた気配を感じ取り、目を開く。
マルロスが今いる場所は、何かの装置が配備された舟の甲板だったが、その舟は洞窟の中にあった。
その洞窟の外が騒がしいのだ。

「…………何事だろう?」

ルフィ達が助けに来てくれたのだろうか、と耳に意識を集中させてみるが、さすがに遠すぎて何も判らない。
右手首の傷からは、もう血は流れていないが、むしろ流れた血が乾いてがっつり張り付いてしまっている。

「……サンジ達、無事かな……他の皆も……」

ぼんやりとそう呟いたマルロスは、きっとまたサンジが守られたことに落ち込むのだろうと考えて、それは少し嫌だなぁと思った。
マルロスは、恩を着せるつもりで庇ったわけでもなければ、サンジに自分を責めて欲しくて庇ったわけでもない。
ただ、咄嗟に身体が動いていたのだ。
その理由は、マルロス自身もよく判っていない。
ただ、サンジを守りたかっただけで。
でもそれは、サンジが言っていた気持ちに似ていたが、マルロスは気付いていなかった。


 

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