広い世界の夢物語
6
「じゃあよ………あの、おれ達の動きを先読みするマントラってのにも、何か理由が?」
サンジの疑問に、ガン・フォールは自身が使えるわけではないのでうまく説明できない、と言いながらも答えてくれる。
「"心綱"とは"聞く力"だといわれている……何やら人間は、生きているだけで体から声を発しているらしいのだ」
「声?」
「うむ……それを聞く事で、相手の次の動きもわかるという」
今ひとつ曖昧な説明だが、何となくは理解出来た。
神官達は"神の島"全域、エネルはこの国全域がその力の範囲に入るらしい。
得体が知れない力だ、とガン・フォールが言う通りだろう。
マルロス達も、こんな力を持った者には会ったことがない。
そんなことを考えていた時、マルロスは不意に背後に雷の気配を感じた。
「サンジ!!」
隣にいたサンジの腕を引き、背後に庇うように振り向いたマルロスを襲ったのは、身体を貫く雷だった。
バリィッ、と身体を走り抜けたその電撃に、マルロスは力なく倒れる。
「「マルロス!!!」」
サンジ達の声が重なり、庇われたと理解したサンジが怒りに燃え、マルロスを襲った張本人に蹴りかかる。
背中に太鼓を背負い、金の棒を持った耳たぶの長い男。
それが誰かなんて、サンジには関係なかった。
だが、繰り出されたサンジの蹴りを軽く避けた男は、すれ違い様にサンジの額に人差し指をあてると、そこから雷がサンジの身体を貫く。
「サンジ君〜〜〜!!」
「サンジー!!ギャ〜〜〜!!ギャ〜〜〜!!」
悲鳴を上げるナミとウソップの前で、サンジも力なく倒れる。
急いで抱き起こせば、意識のない身体は雷の衝撃にかがくがくと震え、胸に手を当てたウソップが鼓動が聞こえないと騒ぎ立てる。
そんな中、ガン・フォールだけが、その男を睨み付けていた。
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