広い世界の夢物語
3
「エネルは?何なの?"神・エネル"」
ナミの疑問に、ガン・フォールは厳しい目付きで答える。
「我輩が神であった時……どこぞの空島から突如、兵を率いて現れ、我輩の率いた「神隊」と「シャンディア」に大打撃を与え"神の島"に君臨した……6年前の事だ。「神隊」は今、そのほとんどがエネルによって何やら労働を強いられている。詳しくはわからん………だが、シャンディアにとっては……神が誰であれ、状況は何ら変わらぬ。ただ故郷を奪還するのみ」
そのシャンディアが、何故空に来た麦わらの一味を狙ってきたのか、そう疑問を口にするサンジにガン・フォールは、極たまに「神隊」が船を手に入れて逃げ出すことがあり、それと間違えられたのだろうと答える。
「我輩「空の騎士」となったのも、そんな脱走者を他の空島へ無事、逃がしてやる為でもあるのだ。犯罪者ゆえ、もはやエネルの目の届くこの国にはおれんでな」
「聞いてりゃ"神・エネル"ってのは、まるで恐怖の大王だな」
紫煙を吐き出しながら、サンジがそう言えば、ビビったウソップが滅多な事言うもんじゃねェぞと、びしばしばしとサンジを叩く。
「恐怖か……いや、それより性質が悪い。エネルはお前達の様に国外からやって来る者達を犯罪者に仕立て上げ、裁きに至るまでをスカイピアの住人達の手によって導かせる。これによって生まれるのは、国民達の"罪の意識"」
「……………」
「己の行動に罪を感じた時、人は最も弱くなる。エネルはそれを知っているのだ。「迷える子羊」を自ら生み、支配する。まさに"神"の真似事というわけだ……食えぬ男よ……」
思ってた以上に深刻な空の現状に、マルロスは言葉を失う。
ナミも、かつての黄金郷もとんでもないところに来ちゃったのね、と口元に手を遣って溜め息と共に呟く。
と、それを聞いたガン・フォールが疑問を口にする。
「その…………昨夜から騒いでおるオーゴンとは、一体……何なのだ?」
「…………え?」
「……そう言えば、サウスバード達も知らないって言ってましたね」
つまり、空島には黄金が存在しない、と考えられる。
黄金郷の黄金は元から存在しないのか、それとも何か理由があってなくなったのか、そこまでは判らない。
「黄金ってそうね……青海じゃとても価値のあるものよ。見た目は、マルロスの髪みたいな色をしてて、キラキラしてるの」
「ふぅむ……生憎と、我輩は見たことがないな」
「じゃあ、黄金郷が今どうなってんのか判らねぇか……」
黄金探索組が、果たして無事にお目当ての黄金を見つけられるか、ナミの気掛かりはその一点に絞られた。
何がなんでも見つけてきなさいよ、と探索組に念じながら、ガン・フォールが"空の戦い"について話し始めたのを聞く。
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