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広い世界の夢物語
遭遇

戦うかどうするか、ルフィとナミの怒鳴り声が聞こえて来たけれど、サンジの言葉で向こうが気付いてるとは限らないことに気付く。

「このままじゃぶつかるぜ、左へ抜けられる、とり舵だァ!!」

ゾロの怒鳴り声に、ウソップが舵が折れてると怒鳴り返して、何とかしろとゾロも手伝いにラウンジに飛んでいく。
折れた舵で、それでも何とかしようとマストから飛び降りてきたサンジを入れて、3人がかりで舵を切ろうとする。

「そうだ、いいこと考えた!!」

突然大声を出したルフィが、船首甲板から飛び降りて倉庫に駆け込む背中に、ナミが上から問い掛けるが答えない。
折れた舵を必死で切ろうとする3人に、マルロスも手を貸すべきか迷ったが無理そうだと思って、倉庫に飛び込んだルフィの背中を見送る。

「だめだ、曲がらない!!」

海へと流れ込む水流の力に、舵を切ろうと悪戦苦闘する3人の力も敵わず、立ちはだかるクジラに迫る。
この勢いでぶつかれば、メリー号は呆気なく大破する可能性も十分に考えられる。
船首甲板に居るナミが位置的に一番危ないと、そう思ってマルロスが急いで階段を駆け上がった時、突然大砲がクジラ目掛けて放たれる。
その衝撃に、思わず甲板に膝をついたマルロスは次の瞬間には再び立ち上がり、飛ぶようにナミの傍らまで走る。

「ナミさんっ」

頭を抱え込むように、ナミに覆い被さる形でマルロスが抱き抱えた時、メリー号の船首がクジラにぶつかり折れて飛ぶ。
大砲を撃ったおかげか、勢いが多少緩和されたらしいメリー号は、船首が折れただけでクジラに接して止まった。

「最…悪……死んだかも…」

「……っ、気付いて、ない?」

クルー全員が息を呑み、クジラの反応を伺う中、マルロスがぽつりと呟く。
数瞬の間クジラの様子を伺い、辺りが静けさに包まれる。

「に…逃げろ、今の内だァ!!」

「マルロス手伝え!!」

「何だ一体どうなったんだ!?砲撃に気付いてねェのか!?それともトロいだけか!!」

ゾロの言葉を合図に、ラウンジから飛び出してきた3人が大きなオールで漕ぎ始め、マルロスもゾロを手伝って漕ぐ。
これだけ大きいと、たかが砲撃くらい何ともないのか鈍いだけなのかは判らないが、取り敢えず動きのない今の内に逃げるしかない。

「ブオオオオォォ!!!」

「ぐあァ!!耳が痛ェ〜っ!!」

「うぁっ!!」

突然の咆哮は、鼓膜が破れそうな程大きく轟く。
オールを漕ぎながら、思わずサンジが声を上げるがオールから手を離さず、少しでもクジラから遠ざかろうと必死だ。
人の子より耳の鋭いエルフのマルロスは、その大きさに思わず漕いでいたオールから手を離して耳を塞ぐが、耳の奥がビリビリと震えて痛む。
普通より耳が鋭いことを、今この瞬間だけは少し恨んだ。


 

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あきゅろす。
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