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広い世界の夢物語


勢い良くかけ登る運河は、頂上で他の海の海流とぶつかりあってから、ナミの言う通りグランドラインへと流れ出す。
サンジに誘われ、メインマストを登って見張り台に佇んだマルロスは、雲に覆われて先の見えない運河の彼方を眺める。
雲を突き抜け、下る先にグランドラインを垣間見る。

「ここが、世界で一番、偉大な海……!!」

特等席だと言う船首によじ登ったルフィが、何処か感慨深そうな声音で呟く。
振り落とされないよう、見張り台の真ん中を貫くマストの先端に掴まりながら、マルロスはそんなルフィの背中を見つめる。
親友への想いとも、主君への忠誠とも違う感情の意味を、やっと判ったような気がした。
ルフィの夢を、仲間として叶える時を見届けたい。
そのために、持てる力を使いたいと、マルロスはそう思った。




流れに乗って山を下るメリー号の進路から、何かが吠えるようなそんな音が轟いた。
何だろう、と雲と水飛沫に霞む前方へと目を凝らすマルロスの耳に、ナミが風の音だと言う声が聞こえた。
だけどマルロスには、よく見えない前方に何かが立ち塞がっているように見えて、念のため両脇に居たサンジとウソップに注意を促す。

「…………山?」

黒々とした大きな影に、マルロスが首を傾げながら呟く。
グランドラインへと流れ出るはずなのに、それを遮るように山がそびえているなんて、どう考えてもおかしいのではないだろうか。

「ナミさん!!前方に山が見えるぜ!!」

「山?そんなハズないわよ!!この先の双子岬を越えたら海だらけよ」

サンジに言い返すナミの言葉を遮るように、ブオオオォォと咆哮が響く。
何の声だと、霞む視界に目を凝らしてようやく見えたのは、山のように大きなクジラの姿と耳をつんざく咆哮で、思わず息を呑んでその姿を見上げる。


 

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