広い世界の夢物語 エンジェルビーチ パフパフとフカフカ雲を歩きながら、マルロスは辺りをきょろりと見回す。 木の上で大きな木の実にかじりついてたルフィが、ウソップに上からそれを投げ落としたりしている。 そんな光景を横目に、雲でできているらしい椅子に腰掛けるナミとチョッパーに、マルロスも興味を引かれて近付いてみる。 背凭れに触れてみれば、チョッパーの言うようにまふっとした感触で。 「ナミさん、お花〜〜〜!!」 咲いていた花を摘み、ナミに差し出そうと走ってくるサンジを尻目に、マルロスはチョッパーを膝に乗せ椅子に座ってみる。 「わっ……不思議な感触……」 まふっとした椅子に、包み込まれるように座ったマルロスに、膝の上のチョッパーがそうだろと頷く。 と、不意に竪琴の音色が耳に届いた。 ウソップ達が、誰かいるぞと騒ぎ立てる先にいたのは、うら若き女性。 「待て、違う!!……天使だ!!」 サンジの言うように、羽を持つ姿は天使のようにも見える。 「…………へそ!!」 「あ!?」 こちらに気が付いて、竪琴を奏でる手を止め微笑んだ彼女の言葉に、ルフィがショックを受ける。 東屋の下から彼女を眺めたマルロスも、随分と変わった挨拶だなぁ、なんてのんびり考えた。 ゾロの足元にいたキツネのような動物を呼び寄せ、彼女は青海から来たのかと訊ねる。 頷いたルフィが、ここに住んでるのかと訊ね返せば、やはり空島の住人らしい。 「ここは、"スカイピア"のエンジェルビーチ。ふふっ………それ、コナッシュ、飲みたいんですか?」 ルフィが両脇に抱える木の実に気付き、彼女は折り畳みナイフを取り出すと、木の実の裏側にナイフを刺す。 「上の皮は鉄の様に硬いから、噛んでもだめですよ。これは裏から」 そう言いながら、手際よくコナッシュと言うらしい木の実に穴を空けると、ストローをさしてルフィに手渡す。 [*前へ][次へ#] |