広い世界の夢物語
空の騎士
バズーカを構えた男に、マルロスがどう対処しようかと一瞬迷った隙に、別の声が割り込んできた。
「そこまでだァ!!!!」
仮面の男の持つ盾と、大きな鳥の背中に乗って現れた別の男の槍がぶつかる。
弾かれたのは仮面の男。
船縁に降り立った、鳥に乗って現れた鎧を着た男は自らを"空の騎士"と称する。
しばし雲の海を見つめ、仮面の男が去ったのを確認して空の騎士は振り返る。
「何なのよ、一体……!!あいつは何者だったの!?それに何よ、あんた達。だらしない!!マルロスはともかく、3人がかりでやられちゃうなんて!!」
怒るナミの傍らで、チョッパーが空の騎士に礼を言う。
これはサービスである、と言う空の騎士の言葉にマルロスはふと引っ掛かりを覚えたが、今は黙っていた。
体が思うように動かない、そう言う3人に、マルロスが答えを示す。
「きっと、空気が薄いせいですね………皆、息苦しくはないですか?」
「ああ…………そう言われてみれば………」
「おぬしら、青海人か?」
空の騎士がそう訊ねる。
青海人の意味を問い返せば、雲下に住む者の総称だと答えが返ってくる。
「ここは"青海"より7000m上空の"白海"、さらにこの上層の"白々海"に至っては一万mに及んでいる。通常の青海人では、体が持つまい……」
「おっし!!だんだん慣れてきた」
「そうだな、さっきより大分楽になった」
「イヤイヤイヤイヤ」
「サンジはどう?」
「ああ、大分マシだ。マルロスは……エルフだもんな」
一人余裕の表情で動けたマルロスは、そもそも人間ではないことを思い出す。
普通は、こんなに早く高地に慣れることは出来ないのだが、その辺りは麦わらの一味の主戦力達。
環境への適応力は、人並み外れている。
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