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広い世界の夢物語


「……………あ、れ?」

ふと気付くと、さっきまで嵐で激しく揺れていた船底がやけに静かで、微かに聞こえていた嵐も静かになっている。
何かあったのだろうか、と慌てて服を着込んで部屋を出ると、嵐どころか空が晴れている。
どうしたのだろう、と思っている内に、バタバタとラウンジから人影が飛び出してくる。

「お、マルロス遅かったな」

「サンジ……どうしたんだ?嵐が止んでるけど」

いい天気だーと、ルフィ達の賑やかな声が甲板に響く。
何があったのか、いまいちよく判ってないマルロスは簡単に説明するサンジの言葉を聞きながら、随分と向こうではまだ空が曇っている。
取り敢えず、サンジの話を聞く限りではグランドラインに入るには運河で山を登るらしく、普通に考えると船で山は登れないはずだが。
首を傾げるマルロスに、サンジはナミさんが言ってるから間違いない、と何故かサンジが胸を張っている。

「しまった……カームベルトに入っちゃった…」

「カームベルト?」

ナミの言葉に首を傾げる者も居れば、嵐の方を眺める呑気な者も居て。
文字通り、風もないベタ凪の海が初めてのマルロスは、興味深そうに波ひとつない凪の海と嵐の海を眺める。
妙な光景に気を取られている時に、ナミが大声で怒鳴る。

「あんた達、のん気なこと言ってないで早く帆をたたんで船を漕いで、嵐の軌道に戻すの!!」

「はいナミさん」

にやけ面で返事をするサンジは無視され、ナミの言っていることの意味が判らないルフィとウソップは、取り敢えずナミに反論するが怒鳴り返される。
遅れてラウンジから出てきたゾロにも、ナミは鼻息も荒く怒鳴る。
その形相と勢いに、離れた場所から見ていたマルロスはさり気なく視線を逸らし、取り敢えず怒鳴られないように持ち場へと歩き出す。

「………女性が怒鳴るのは、まだ慣れないなぁ」

もちろんマルロスも、決しておしとやかな女性ばかりを見てきたわけではないし、女性に対して偏見的な思いがあるわけでもない。


 

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あきゅろす。
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