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広い世界の夢物語
17

マルロスの説明を聞いて、クリケットが更に付け加える。

「――――そう、それに前文にあった奇妙な鳥の鳴き声……おい、マシラ」

「オウ」

「わっ!!まだあんのか」

「こっちのはデケェな!!」

布包みから覗くのは、鳥のような造形の金の塊。
見たことのない鳥の姿に、自然と視線が集まる。

「"黄金の鐘"に"鳥"……―――それが昔のジャヤの象徴だったのかねェ……」

「わからんが、これは……何かの造形物の一部だと思うんだ」

煙草を燻らせながら、そう話すクリケットとサンジ。
金塊に軽く手を置いて、これは"サウスバード"と言って現存する鳥だと言うクリケットに、ルフィが鳴き声が変なのかと訊ねる。
それにクリケットが頷き、マシラが昔から船乗りの間じゃあ、と何かを言いかけて叫ぶ。

「しまったァ!!!!」

「何だ!?どうした!!」

突然のことに皆が驚き、慌てるクリケット達を見遣る。
するとクリケットが、ルフィ達に今すぐ南の森に行けと言い出す。
何でいきなり、と何でだよ、と騒ぐルフィとウソップにサンジに、この鳥を捕まえてくるんだ今すぐ、とクリケットは言う。

「いいか!!よく聞け………!!お前らが明日向かう"突き上げる海流"、この岬から真っすぐ南に位置している……!!そこへどうやって行く!?」

「船でまっすぐ進めばいいだろ」

「ここは"偉大なる航路"だぞ!?一度外海へ出ちまえば、方角なんてわかりゃしねェ!!」

その言葉に、航海士ナミが気付く。

「……………そうか……目指す対象が"島"じゃなくて"海"だから、頼る指針がないんだわ……!!じゃ……どうすれば真っすぐ南へ進めるの!?」

「その為に、鳥の習性を利用する!!ある種の動物は体内に正確な磁石を持ち、それによって己の位置を知るという」

「うん……ハトとかサケは、そんな能力があるって聞いた事あるけど」

「あ……!!」

そこまで黙って話を聞いていたマルロスが、不意に何かを思い出した。
ルフィとゾロは、互いを馬鹿にし合っている。

「思い出した……サウスバードって、船乗りの間では最も有名な鳥ですよね?どんなに広大な土地や海に放り出されても、正確な方角を示すって言う……」

「そうだ!!とにかく!!この鳥がいなきゃ、何も始まらねェ!!"空島"どころか、そこへ行くチャンスに立ち会う事もできんぞ!!」

「えー!?」

何で今ごろそんな事言うんだよとか、もう真夜中だぞ、とか文句を言う麦わらの一味にクリケットがガタガタ言うなと怒鳴り付け、網を3つ押し付け森へ追い立てる。
夜明けまでに、サウスバードを一羽捕まえてこい。
そう言って、クリケット達はメリー号の強化にあたると言う。
森に追いやられた麦わらの一味は、網を持ったルフィとゾロとサンジを先頭に、南の森に足を踏み入れる。


 

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