広い世界の夢物語
16
そんな中、マルロスは『髑髏の右目に黄金を見た』と言う、記述が気になった。
「何でしょう?仮に都市の名前だとしたら、何か独特の読み方をするんでしょうか?」
「そうね……この記述だけで判断するのは拙速だけど、その可能性は高いわね」
ロビンの言葉に、マルロスも小さく頷く。
ノーランドが己の死を暗示たものとは、少し違うようにマルロスは感じていた。
と、クリケットが日記の暗唱を始めた。
「ジャヤ到着の日!!1122年5月21日の日記」
「ノーランド!!」
「ノ〜〜〜ランド!!」
「―――――その島に着き、我々が耳にしたのは森の中から聞こえる奇妙な鳥の鳴き声と、大きな、それは大きな鐘の音だ。巨大な黄金からなるその鐘の音はどこまでもどこまでも鳴り響き、あたかも過去の都市の繁栄を誇示するかの様でもあった。広い海の長い時間に咲く文明の儚きによせて、たかだか数十年生きて全てを知る風な我らにはそれはあまりにも重く、言葉をつまらせる!!我々はしばしその鐘の音に立ち尽くした――!!」
やっぱノーランド好きなんじゃねェかっ、とウソップが言うのも当然だ。
こんなに長々と、日記の文章を見ないで言える程きっちり覚えているのは、口では何だかんだと言っても好きなんだろう。
賑やかな彼らを微笑ましげに見つめながら、マルロスはジョッキを傾ける。
「これを見ろ」
「うわっ!!"黄金の鐘"!!―――で、どの辺が巨大なんだ!?」
「―――別にこれがその"鐘"というわけじゃねェ。鐘形のインゴットだ、これを3つ海底で見つけた!!」
インゴットを抱え、目をハートにしているナミを放って、クリケットが説明する。
それを聞いたルフィは、黄金都市はあるじゃんと言うが、これくらいの量の金は何でもない遺跡からでも出てくると、ショウジョウが否定する。
「――――だけど、この辺りに"文明"があった証拠にはなるわね」
「そうですね。"インゴット"は金をグラム分けするために加工されたものですから、それで取引がなされてた事になりますよね」
ロビンの言葉に、マルロスが付け加える。
考古学の知識はなくとも、インゴットくらいならマルロスでも知っていた。
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