広い世界の夢物語
11
「"積帝雲"、そう呼ばれる雲がある。空高く積み上がるも、その中には気流を生まず雨に変わる事もない。そいつが上空に現れた時、日の光さえも遮断され地上の「昼」は「夜」にもかわる。一説には"積帝雲"は何千年何万年もの間、変わる事なく空を浮遊し続ける"雲の化石"だという」
クリケットの説明に気象学に長けるナミが異を唱えるが、信じるも信じないもお前らの自由と言われてしまう。
マルロスも、ナミに気象学や航海術を習っているために、クリケットの説明を到底信じられなかった。
だが、ざっくりと"不思議雲"かと理解したルフィに、クリケットも頷く。
「いいか。"空島"がもし存在するというのならば、そこにしか可能性はない」
「そうか!!よしわかった!!その雲の上に行こう」
断言したクリケットに、ルフィ達は大はしゃぎで雲舵いっぱいだ、と騒ぐ。
そんなルフィ達に、ナミが鬼の形相で行き方がわかんないって何度言わすの、と怒鳴り付けると同時に手が出る。
「ここからが本題だ。言っておくが、命を賭けろ」
「もうヒン死」
顔面が腫れるだけ腫れたルフィとウソップに、マルロスは苦笑いすら浮かばない。
やはり怒ったナミさんは怖い、と実感しながら、クリケットの話の続きを待つ。
「"突き上げる海流"ノックアップストリーム。この海流に乗れば空へ行ける、理屈の問題だ。わかるか?」
その説明に、ナミはモックタウンで聞いた話を思い出す。
船が吹き飛ばされ、海面に叩き付けられてしまうと聞いているだけに、俄には信じ難い。
ルフィは空まで飛んでけばいいんだ、なんて笑っているが、マルロスも渋い顔をする。
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