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広い世界の夢物語
出航〜グランドラインへ

何とか海兵達をまいて西の港に辿り着けば、ギリギリまで張られたロープを支えるウソップの怒鳴り声と、遅いと怒るナミの声が聞こえる。

「早く乗って!!船出すわよ!!」

「はァ〜い!!」

目には見えないが、ナミに向けてハートを乱舞させながら答えるサンジに対し、女性が怒鳴ることに未だ慣れないマルロスが驚いたように肩を竦める。
岸を蹴り、揃って船に飛び乗るのと同時にナミの号令が飛び、慌ただしく船が岸を離れる。
嵐にも関わらず、メリー号は波を切って海を進む。
大海原へと漕ぎ出したメリー号は、ナミの指示に従い真っ直ぐにグランドラインの入り口があると言う、世界を分かつ壁レッドラインを目指す。





その頃、ルフィ達に逃げられたローグタウンの海軍大佐スモーカーは、苛立たしげに紫煙を吐き出して部下の報告を聞き流した。

「麦わらを追うぞ、船を出せ」

「え!?追うって!?」

「グランドラインへ入る」

驚く部下をよそに、スモーカーは淡々と答える。
そんなスモーカーに、ゾロとの戦いで手を抜かれたと憤るたしぎが、スモーカーに賛同するように声を張り上げる。
ざわめく海兵達は、スモーカーはローグタウンを管轄として海軍本部から任されている、と何とか説得しようとする。
だが、スモーカーは一切耳を貸さない。
部下を睨み付け、船の準備に走らせておいてからスモーカーはたしぎを呼び、警戒するように声を潜める。

「たしぎ……麦わらの仲間の顔を覚えたか?」

「え!?あ、はい!!船長の麦わらに海賊狩りのゾロの他、数名が仲間のようでしたが」

「金髪の男が居ただろ、背の高い……剣を持っていた」

色合いは微妙に違うが、同じような金髪の男がもう一人居たことを思い出し、スモーカーが最後に付け足す。
それを聞いて、顎に手を添えて少しの間考え込んだたしぎは、死刑台広場を双眼鏡で見ていた時のことを思い出す。
長い黄金色の髪を揺らし、双剣を手に身軽にバギーとアルビダの一味達の頭を踏み台にして、死刑台まで走った男が居た。
双眼鏡越しに見たその身のこなしは、到底普通では考えられないような身体能力で、能力者かとさえ思った程だ。

「あれだけの身体能力……ただ者じゃない」

「えぇ……ですが、仮に能力者なら、麦わらが殺されそうだったあの時、何らかの能力を使ったはずですよね」

「あぁ、たぶん能力者じゃねェはずだ。それであの身の軽さだ……他の連中同様、十分用心する価値はある」

動いている人間の頭を足場に、数十メートルを身軽に走り抜いたその身体能力に、スモーカーは注目していた。
懸賞金こそついてないが、麦わらの死刑を中断させようとしていた海賊狩りともう一人の金髪の男同様、麦わらの一味の主戦力である可能性が高い。
そこまで考えると、少数海賊団でも危険分子だと考えられるから、スモーカーは必ず自分の手で麦わらを捕らえると、決意を改める。


 

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あきゅろす。
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