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広い世界の夢物語


死刑台のルフィが、群衆を割いて駆け寄る仲間に気付いたが、バギーが振り上げた剣は今にも降り下ろされそうだ。
まして、群衆を割いて死刑台を目指す3人の先には、アルビダやバギーの手下が待ち受けている。
とにかく死刑台を壊すんだ、とそれぞれに雑魚を蹴散らすゾロとサンジの後ろから、マルロスはまだ遠い死刑台を見遣る。
このまま、いちいち雑魚共を蹴散らしながら進んだのでは間に合わないと、マルロスはぐっと唇を噛む。

「ひゃっほーう!!」

妙な掛け声で襲い掛かってきた雑魚を斬り、マルロスはふと閃いた。
こいつらを踏み台に、死刑台まで走ればまだ間に合うかもしれない、と。
思うよりも早く、たった今斬り捨てた雑魚の頭を最初の踏み台にして、そのまま続けて雑魚の頭を足場に走り出す。

「ルフィ!!!」

今まで出したことのない程大きな声で、マルロスが死刑台の上のルフィを呼ぶ。
身の軽いエルフだからこそ、不安定な人の頭を足場に走ることが出来る。
後少し、もう少しで死刑台に辿り着けるという所で、ルフィの静かな声が耳に届いた。

「ゾロ!!!!サンジ!!ウソップ!!ナミ!!マルロス!!………わりい、おれ死んだ」

「バ……バカなこと言うんじゃねェ!!」

にいっ、と死刑台で笑うルフィに、ゾロとサンジが叫ぶ。
そのルフィの笑顔に、死を受け入れた言葉に、マルロスの脳裏にあの悪夢が甦る。
国と共に死ぬことを選んだ主君を、あとから追い付くと言って一人残って戦った親友を、共に炎の悪鬼と戦った親友の顔が脳裏を過る。
主君も2人の親友も、最後に見た顔は皆、笑っていた。
彼らと同じように、ルフィも失うのか。
自分を受け入れ、仲間だと笑ってくれたルフィを失うのかと、引き裂かれそうに痛む胸の内で思う。
そんなのは嫌だ、そう思った時には、喉が張り裂けんばかりにマルロスは叫んでいた。

「ルフィ―――――っ!!!!」



 

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あきゅろす。
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