広い世界の夢物語
7
通りを歩きながら、マルロスは人気が少なくなってきたことに気付いたが、雨の気配が急速に強くなってきたことに不安を覚える。
「異常に気圧がおちてく」
「早く船に戻った方が良さそうですね……ひどい雨になりそうな空気ですし」
「そうね………あ」
「お」
「ん」
マルロスとナミがそんな話していた途中、交差点でばったりとクルーが勢揃いする。
サンジとウソップが担いでいる大きな魚に、マルロスは雨のことを忘れて釘付けになる。
こんなに大きな魚を、サンジは一体どう料理するのだろう。
マルロスはそんなことを考えながら、唯一姿の見えない船長について話す皆の話を聞いていたが、突然のウソップとゾロの叫びに驚く。
「何であいつが死刑台にっ!?」
「もー………」
「ルフィ………何で?」
死刑台広場に集まった群衆の向こう、遠くに見える死刑台の上に居る我らが船長、ルフィの姿にナミが項垂れマルロスは呆然とする。
状況を見る限りでは、何処からどう見てもルフィの死刑執行まで後僅か、としか言いようがない。
何がどうしてそうなったのか、クルーとしては是非とも馬鹿船長を問い質したいが、その為には捕まっている馬鹿船長を助けなければならない。
「ほんっと、あいつは天性のトラブルメーカーだな」
「あァ、全くだ」
「あまりのんびりはしていられませんよ、死刑が始まる前に助けないとですし……大きな嵐になりそうですから」
「だな……っし、行くぞ!!」
ゾロが黒い手拭いを頭に巻き、3本の刀を構える。
その時、死刑台のルフィが広場中に響き渡る程の大声で、野望を宣言する。
「おれは海賊王になる男だ!!」
かつて、歴史上ただ一人そう呼ばれた男が処刑されたその死刑台から、ルフィは集まった群衆に向けてそう怒鳴る。
その気迫は、遠く離れたマルロスにも伝わる。
ルフィのその言葉に、マルロスは腰に下げた双剣を抜く。
直感的に、こんなことでルフィを死なせてはいけないと、そう強く感じたのだ。
それは、島に着く前のルフィの背中に抱いた不思議な感情とよく似ていて、マルロスは走り出したゾロとサンジの背中を追いながら祈る。
振り上げられた剣が下ろされるより早く、あの死刑台を斬り倒せるようにと、今は亡き親友に力を貸してくれと強く祈る。
「その死刑待て!!」
「サンジ!!ゾロ!!マルロス!!助けてくれェ!!!」
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