[携帯モード] [URL送信]

広い世界の夢物語


通りを歩きながら、マルロスは人気が少なくなってきたことに気付いたが、雨の気配が急速に強くなってきたことに不安を覚える。

「異常に気圧がおちてく」

「早く船に戻った方が良さそうですね……ひどい雨になりそうな空気ですし」

「そうね………あ」

「お」

「ん」

マルロスとナミがそんな話していた途中、交差点でばったりとクルーが勢揃いする。
サンジとウソップが担いでいる大きな魚に、マルロスは雨のことを忘れて釘付けになる。
こんなに大きな魚を、サンジは一体どう料理するのだろう。
マルロスはそんなことを考えながら、唯一姿の見えない船長について話す皆の話を聞いていたが、突然のウソップとゾロの叫びに驚く。

「何であいつが死刑台にっ!?」

「もー………」

「ルフィ………何で?」

死刑台広場に集まった群衆の向こう、遠くに見える死刑台の上に居る我らが船長、ルフィの姿にナミが項垂れマルロスは呆然とする。
状況を見る限りでは、何処からどう見てもルフィの死刑執行まで後僅か、としか言いようがない。
何がどうしてそうなったのか、クルーとしては是非とも馬鹿船長を問い質したいが、その為には捕まっている馬鹿船長を助けなければならない。

「ほんっと、あいつは天性のトラブルメーカーだな」

「あァ、全くだ」

「あまりのんびりはしていられませんよ、死刑が始まる前に助けないとですし……大きな嵐になりそうですから」

「だな……っし、行くぞ!!」

ゾロが黒い手拭いを頭に巻き、3本の刀を構える。
その時、死刑台のルフィが広場中に響き渡る程の大声で、野望を宣言する。

「おれは海賊王になる男だ!!」

かつて、歴史上ただ一人そう呼ばれた男が処刑されたその死刑台から、ルフィは集まった群衆に向けてそう怒鳴る。
その気迫は、遠く離れたマルロスにも伝わる。
ルフィのその言葉に、マルロスは腰に下げた双剣を抜く。
直感的に、こんなことでルフィを死なせてはいけないと、そう強く感じたのだ。
それは、島に着く前のルフィの背中に抱いた不思議な感情とよく似ていて、マルロスは走り出したゾロとサンジの背中を追いながら祈る。
振り上げられた剣が下ろされるより早く、あの死刑台を斬り倒せるようにと、今は亡き親友に力を貸してくれと強く祈る。

「その死刑待て!!」

「サンジ!!ゾロ!!マルロス!!助けてくれェ!!!」


 

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!