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広い世界の夢物語


「ナミさん?」

「つまり、ルフィを捕まえたら懸賞金支払います、って言う全世界への手配書よ。金額が高ければ高い程、強い賞金稼ぎが懸賞金目当てに狙ってくるだろうし、海軍本部も捕まえるために動くはずよ……」

「それは……喜んで良いことなんですか?」

「今の時代、海賊なら大抵は指名手配されてるものよ。手配書が配られたってことは、海賊として認められたようなものだから、まぁ良いんじゃない?」

半ば投げやり気味に、ナミが喜んでいるルフィから顔を背けながら答えると、これからの航海について思案を巡らせる。
そんなナミの後ろでは、ルフィとウソップ、サンジが張り切ってグランドラインに行くぞと騒いでいる。
それぞれに自由なクルーに、マルロスは小さく笑ってそんな様子を眺める。
お尋ね者になったことは、あまり喜ばしいこととは一概に思えないが、それでも楽しそうな皆を見ていると悪いことには思えない。
そんなことを考えていると、ゾロが島が見えると言って前方を指差す。

「あそこには、有名な町があるの。『ローグタウン』別名、始まりと終わりの町」

かつて海賊王が生まれ、そして処刑された町。
それを聞いたルフィの顔が、それまでと変わって引き締まる。
真っ直ぐに、海賊王が生まれて処刑されたと言う町のある島を見つめるルフィの横顔を、マルロスは少し驚いたように見つめる。
いつでも、子供のように無邪気に笑っているルフィの、男を感じさせる引き締まった横顔。
普段と全く違う表情を見せるルフィに、マルロスは不思議な程惹き付けられる。
子供のような表情と、それとは全く違う大人びた表情を見せるルフィに、何故こんなにも惹き付けられるのか。
今まで抱いたことのない不思議な感覚に、戸惑いにも似た気持ちを持て余しながら、マルロスはルフィを見つめる。
主君に仕えたいと願った時の感情とも、親友と一緒に居たいと願う気持ちとも違う感覚を、何と呼べば良いのか。
胸元できつく手を握り締め、沸き上がる不思議な感覚と気持ちを落ち着けようと、深呼吸をする。
胸元を飾るブローチを指で撫でながら、船が西の港に停泊するまでの間ずっと、マルロスはルフィを見つめていた。


 

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あきゅろす。
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