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広い世界の夢物語
2(夢主視点)

一番初めに太陽が昇ったのは、確かヴァリノールを発ち、ヘルカラクセと呼ばれた氷の海を渡りきり、最初の月が天上に輝いてから7度後だった。
それからは、月と太陽の行き来で日を数えるようになって、その頃の私は、丁度人間で言う成人を迎えた頃だった。
そして、中つ国のネヴラストにヴィンヤマールと名付けられた館が完成した頃、私はあの方に永遠の忠誠を誓ったのだ。
それからあの悪夢の日まで、およそ500年以上の月日が流れていた。

「…………少なくとも、500年以上は生きてると思います」

「ごっ、500年!!?」

「すっげー!!」

目を輝かせるルフィと、驚きに言葉もない他の3人。
向こうで生きていた頃は、それでもまだ年若いエルフと言われることが多かったので、こんなに驚かれるとは思わなかった。
もちろん、人の子には定められた短い時間しか生きられないことは知っているが、そんなに驚くとは思わなかった。

「信じらんない……そんなに生きててこの見た目!?詐欺よ!!」

ナミさんが怒っているが、エルフは老いることのない種族なので成人する頃に成長が止まり、それからずっとこのままだ。
だから、詐欺と言われても困るのだけれど、怒っているナミさんに言っても聞いてくれなさそうだ。

「そんだけ生きてんなら、やっぱマルロスの方が強いんじゃないか?」

「確かめたら早いだろ。おいルフィ、あのマリモ連れてこい、どうせどっかで寝てんだろ」

長く生きていることが、そのまま強さに繋がるわけではないのだけれど、と喉まで出掛かった言葉を飲み込む。
ゾロを探しにいったルフィの背中を見送り、溜め息をひとつ。
どうやら、この船のクルーは人の話を聞かない部分があるようだ、船長のルフィを筆頭に。
ほんの僅かな時間で、それを薄々理解してきた。



 

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