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広い世界の夢物語


神の子として作られた美しい種族と、エルフと平和な時間を脅かす悪と闇との戦い。
そして、マルロスの話は悲しみの記憶へと移り変わり、聞いているルフィ達にも深い悲しみが伝わる。

「私はあの日、仕えていた主君も護るべき国民も、かけがえのない親友も……私の大切な全てを失いました。この命も、一度は確かに失いました」

「………ん?じゃあ、マルロスは一回死んでるのか?」

サンジの問い掛けに、マルロスは苦笑いにも似た笑みを浮かべて頷き、真摯な表情で改めて話し始める。

「確かに私は、一度命を失いました。それでも、私が今こうして生きているのには理由があるのです……先程の話は、この世界とは別の世界のことです。アルダ、私達エルフはそう呼んでいましたが、私は別の……もうひとつのアルダに産まれたエルフです」

マルロスは、世界中に蔓延した悪によって滅びてしまいそうな時に、戦禍の中で産まれたと言う。
滅びゆく世界の中、ただ一人で逃げ惑い何とか生き抜いていたマルロスを救ったのは、世界を創造した唯一なる神だった。
世界中に蔓延した悪によって、神もその力を失いつつある時であったが、滅びゆく世界で一人必死に生きている幼いエルフを見つけ、憐れに思った神は最後の力を使い幼子を救い上げた。
そしてその幼子を、同じように世界を創造したもう一人の神の元へ送り届け、幼いエルフに生きる場所を与えた。

「そうして生き延びた私は、もうひとつのアルダで一人のエルフとして生きていました。しかしあの日、戦いに命を落とした私に、今度は選択が与えられました」

「選択?」

「えぇ。元々その世界で生まれたエルフではない私にだけ、特別に与えられた選択です。私が産まれた世界へ帰るか、それとも魂の滅びを選ぶか……私は迷った末に、産まれた世界に帰ることを選びました」



 

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あきゅろす。
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