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広い世界の夢物語


マルロスにとって海賊とは未知の存在であったが、とても楽しそうに話しているルフィを見ていると、何も知らないけれどその楽しさが伝わってくるのだ。
不思議な少年だと密かに思ったマルロスは、まだ楽しげに話しているルフィの話に意識を向ける。





これまでの冒険を話し終え、何処か満足げな表情のルフィはマルロスの顔を覗き込み、もう一度仲間になれと誘う。
それまで、途中で遮ることなく楽しげに話を聞いていたマルロスは、ルフィのその言葉にふと顔を曇らせる。
もし仲間になるのならば、彼は自分自身のことを話さなければならない、と彼は考えていた。
そして彼は、それを躊躇っていた。
自分自身のことを話し、ルフィという少年が、それを受け入れてくれるか判らない。
それが怖かった。
初めて逢ったばかりの少年に、何故自分自身のことを話しても良いと思えたのか、理由などは何もなかった。

「どした?」

不思議そうに、ルフィが顔を覗き込んだ。
麦わら帽子が風に揺れ、ルフィの後ろに朝日が射し始める。
いつの間にか銀色の月は沈み、金色に輝く太陽の光が穏やかな朝の海を照らし、空も明るさを増していた。

「ルフィ?んなとこで何やってんだ?」

不意に掛けられた声に、ルフィが振り返る。
そこには、朝食の準備のために起きてきた仲間の一人、コックのサンジが居た。
いつもと同じ、きっちり着込んだスーツとくわえ煙草のサンジの姿に、ルフィは満面の笑顔を向ける。
サンジが起きてきたのなら、ルフィが何より楽しみな食事の時間が近い、ということだ。


 

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